最近のトム・ハンクスは、シリアスな映画ばかりに出ているのですが、もともとはコメディの方が多かったのです。今回は、そんなトム・ハンクスの楽しさが溢れる『マネー・ピット』(1986年)です。
1.あらすじ
若手弁護士のウォルターと恋人のヴィオラ奏者のアンナは、アパートから追い出されて新しく住むところを探すことになる。格安物件を見つけて喜んで購入した彼らだったが、実はその家は欠陥だらけだった。
youtu.be↑予告編が英語のものしかなかった
2.トム・ハンクス
トム・ハンクスと言ったら、何十年もハリウッドで活躍し続けている名優。最近の作品を見ると、彼はシリアス専門の俳優なのかと思われるほどですが、実はその真逆。そもそも、彼はアメリカの大人気コント番組『サタデー・ナイト・ライブ』出身。コメディは大の得意なのだ。
そのゆえ、彼が80年代に出ていた作品は『スプラッシュ』(1994年)『ビッグ』(1989年)『ターナー&フーチ/すてきな相棒』(1989年)など、軒並みコメディ寄りの作品ばかり。『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994年)では、そのひょうきんなイメージとドラマ性が合わさって、彼にピッタリの役どころでした。
ですが、90年代後半からはコメディ映画への出演は減り、徐々にシリアス系の映画への出演が増えます。『プライベート・ライアン』(1998年)『ダ・ヴィンチ・コード』(2006年)『キャプテン・フィリップス』(2013年)など。そのせいで、最近の彼は大体眉間に皺を寄せています。
別に、シリアス映画に出てほしくないと言っているわけではないのです。トム・ハンクスは名優なので、シリアスな演技も見事にこなし、観客の共感を誘います。ただ、コメディ作品にも出てほしいのです。年をとったからといっても、出来ないはずはありません。事実、『王様のためのホログラム』(2016年)はユーモアも盛り込まれた楽しい作品でした。ぜひ、今後はもっとこういった作品に出てほしいというのが私の願いです。
3.全編コント
本題の『マネー・ピット』の話に戻りましょう。money pitとは日本語だと「金食い虫」になります。つまり、お金がどんどんなくなっていってしまうということ。本作で描かれているのもそんな出来事です。不良物件を買ってしまったために、いくら金があっても足りないくらい修繕費用がかかってしまいます。
そんな苦労をよそに、この家は怒涛の壊れ方をします。ドアが外れるのは当たり前。階段は落っこちるし、屋根は雨漏りをします。蛇口からは泥水が出て、電気のスイッチは爆発します。本作の大半は、そんな調子で進んでいきます。というか、ほぼそれだけの映画です。
それでも、90分間ちゃんと楽しめるのは、勢いがあるから。さすがハリウッド。家にあるものなら、何でも豪快に壊していきます。それはもう、片っ端から。いくら吉本新喜劇でもここまではできないでしょう。
その家の崩壊に巻き込まれるのが、トム・ハンクス扮するウォルターとシェリー・ロング扮するアンナ。シェリー・ロングも可愛らしいわりに、しっかり笑いを取ってきます。彼らは、とにかく家が壊れていくのに巻き込まれます。彼がどんなリアクションをするのかが見どころですね。
4.まとめ
ひたすたに家が壊れる映画『マネー・ピット』でした。若くて面白い頃のトム・ハンクスが見られるので、ぜひ見てみてください。頭を空にして、気楽に見るのがおすすめ。圧巻の家の崩壊ぶりをとくとご覧あれ。
ちなみに、製作でスティーブン・スピルバーグも入っています。80年代といったらスピルバーグの全盛期ですから、この時期の面白い映画には大体スピルバーグが絡んでいますね。
これも結構色んなものを壊している↓