映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『チェイス!』~濃い!~

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 9月なのに、まだまだ暑い日が続いていますね。まさに、インドのような気候です。ということで、今回はインド映画の『チェイス!』(2014年)。アクションあり、笑いあり、人間ドラマありと今回も盛りだくさんです。

 

 

1.あらすじ

 シカゴでサーカスの団長を務めるサーヒル。しかし、彼の父親はサーヒルが幼い時に、銀行から融資が受けられず自殺したという過去があった。サーヒルは復讐として、サーカスの傍ら、銀行強盗をしていた。一方、インドからやってきた敏腕刑事ジャイも真相に迫りつつあった。

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 サーヒルを演じるのは、”インドの国宝”ことアーミル・カーン。言い過ぎと思うかもしれませんが、この人は本当に凄いのでこの呼び名に値すると言っても良いと思います。出演作は、『きっと、うまくいく』(2009年)、『PK』(2016年)、『ダンガル きっと、つよくなる』(2018年)、『シークレット・スーパースター』(現在公開中)などがあり、彼が出演する作品は続々と世界でも公開されています。また、プロデューサーとしても活躍するほか、社会活動なども積極的に行っています。まさに、現在のインド映画界を代表する人物といって良いでしょう。

 

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 ちなみに、原題は『Dhoom3』ということで、Dhoomシリーズの3作目となっています。このDhoomシリーズというのは、刑事二人を主軸にしたものです。ただ、シリーズ物とはいっても、作品ごとの関連は薄いそうなので本作から見ても全然大丈夫です。

 

2.迫力のバイクアクション

 本作の見どころの一つは、バイクアクション。サーヒルが銀行から逃げるときや、刑事が彼を追いかけるときのバイクさばきが凄い。特に、サーヒルの方はもはや人知を超越しています。まずは、バイクで綱渡りをします。そして、大ジャンプ。そこからの、水上バイクへのトランスフォーム。トランスフォーマーも真っ青です。

 

 インド映画のアクションの特徴として、かっこいいシーンで毎回見得を切るところがあります。歌舞伎ではないので、首をぐるんとまわして「いよーっ」というわけではないですが、そのシーンだけスローモーションになります。これは『バーフバリ』とか『タイガー伝説のスパイ』(2012年)も一緒。アクションの見せ場では、ほぼ毎回スローになるのです。若干まどろっこしくも感じますが、これはこれで一つの表現方法なのかなと思います。

 

3.やっぱりコメディ&ダンス

 インド映画の魅力は、やっぱりダンスとちょうど良い笑いです。インド映画の豪華なダンスについてはご存じの方も多いと思いますが、バカだけど下品過ぎないインドの笑いも私は好きです。

 

 本作もそんな笑えるところがたくさんあって、ナイス!特に、敏腕刑事の相棒のアリが良い味出してます。犯人を追跡するときに、よくあんなに能天気でいられるなあ(笑)。そして、見事にアリを無視する金髪美女も面白い。まあ、活躍するシーンがほとんどなく、彼女は映画に無視されていますが(笑)。

 

 一方のダンスはというと、これはいつもとは一風変わったものになっています。というのも、サーヒルが率いるサーカスのメインがダンスなのですが、これがあまりインド風ではない。いわゆる普通のミュージカルに近く、タップダンスなどを盛り込んだ熱いダンスになっています。

 

4.熱いドラマ(ネタバレ)

 ご覧になった方は分かると思いますが、本作は中盤で驚きの展開を見せます。とは言っても、この設定自体は特別新しいというわけでもないのですが(あるドラマでこれをメイントリックにしたエピソードを見たことがあります)。ここで問題になるのは、隠された方の人権になります。実質的に存在しないことにされているのですから、人権も何もあったものじゃありません。それをここまで無事にやってきた二人は凄い。

 

 で、この双子の間のドラマがあるわけですが、それはまあ妥当。ラストはちょっと意外でした。二人ともマジシャンなら、何かしらのトリックを使って逃げ出すか、死を偽装するとかできそうな気もしましたが、ここは潔くジ・エンド。これもアリかな?

 

 それよりも気になったのは、画の濃さ。アーミル・カーンって、一人でも十分濃いじゃないですか。それが二人ともなると、もう牛乳を通り越してヨーグルトぐらい濃厚。目を見開いて熱く口論を始めたりすると、すごい画になります。それでも、二人の個性はちゃんと出ているわけですから、これはアーミル・カーンの演技力のおかげです。

 

5.まとめ

 インド映画といえば、『きっと、うまくいく』や『バーフバリ』などが有名ですが、それ以外にも面白い作品はたくさんあります。そのうちの一本がこれ。こういった面白いアクション映画がインドではコンスタントに作られているので、今後も目が離せません。

 

『バーフバリ』↓

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インドのゾンビ映画

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