映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』はコメディだ

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  レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットが初めて共演するということで、日本でもかなり話題になった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を見てきました。予習必須と色んなところに書いてあったのですが、本当にその通り。多少の知識を仕入れておくと、かなり楽しめます。

 

 

1.あらすじ

 かつてのTVスターだったリック・ダルトンは、今や落ち目の俳優。それでも彼に付き添い続けるスタントマン兼何でも屋のクリフ・ブース。彼らは、激動のハリウッドを生き抜こうと、硬い友情をもとに頑張っていく。一方、隣の家には映画監督のロマン・ポランスキーとその妻で女優のシャロン・テートが住んでいた。

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 監督は、クエンティン・タランティーノ。『レザボア・ドッグス』(1992年)で監督デビューしてから、『パルプ・フィクション』(1994年)、『キル・ビル』(2003年)などの監督をしています。過度なヴァイオレンス描写を得意としており、大体R指定がかかります。ただ、今作はやや控えめでPG12指定となっています。

2.予習必須

 この映画をまだ見ていないという方は、ぜひ「シャロン・テート事件」について知っておくべきです。これを知っているかいないかで、この映画がどれほど楽しめるかが大きく変わってきます。ネタバレにはなりません。

 

 シャロン・テート事件とは、カルト集団の教祖であるチャールズ・マンソンの仲間がシャロン・テートを惨殺した出来事です。1969年8月9日には、ロマン・ポランスキーは海外に出かけており、彼の家には当時妊娠中の妻のシャロン・テートと3人の友人がいました。この日の夜、マンソンの4人の部下は、マンソンからロマン・ポランスキー邸にいる者を殺すように命令されていました。マンソン自身、この家に誰が住んでいるかはよく知らなかったのですが、金持ちならばそれで良かったのです。結局、彼らはシャロン・テートを含む4人を惨殺しました。

 

 要は、オウム真理教みたいな集団が、女優のシャロン・テートを殺害したという事件です。

 

3.れっきとしたコメディ

 この映画は、実はれっきとしたコメディです。まず、レオナルド・ディカプリオ演じるリック・ダルトン様が、何とも愛らしい。かつては、一世を風靡するほどのスターだったにも関わらず、現在は新しい俳優たちのサンドバッグ。そんな状況に、わんわん泣いてしまうのですから、可愛い。終盤のディカプリオがジャック・ブラックにしか見えないのはご愛嬌。

 

 彼の良き友であり、相棒のクリフ・ブースを演じるのはブラット・ピット。この人は、とにかくかっこいい。車をかっこよく乗り回し、喧嘩のときにはたよりになる。スタントマンとしての仕事は減っていて、生活振りもあまり良くはないが、男としてはかっこよすぎる。彼の飼い犬はかなり厳つい見た目ですが、クリスには忠実。このコンビも見逃せません。

 

 マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートの出演シーンは、意外と少なかった。だが、当時のバブリーなハリウッド映画界を満喫する存在として、欠かせなかい。彼女が、自分が出ている映画を見て楽しんでいる人を見て喜んでいる様子は、微笑ましかった。

 

4.爆笑の嵐(ネタバレ)

 私はシャロン・テート事件について予習してから見に行ったのですが、そうするとクライマックスが面白くてたまらない。自分はいつシャロン・テートが殺されるのかハラハラして見ていたのに、それが見事にひっくり返されてしまう。なんと、マンソンの仲間たちは、リック・ダルトンとクリフ・ブースにメッタメタのギッタギタにされてしまうのだ。

 これがもう面白すぎる。ラリってるくせに相変わらず強いクリフに、途中まで何も知らずにいたリックに、強すぎるクリスの愛犬。すべてが痛快すぎる。ここまでタランティーノのお得意の描写がないなあと思っていたら、ここで爆発。良いもの見させてもらいました。

 

5.まとめ

 最初にも言った通り、この映画は予習必須。予習をしていなくてよくわからなかったという方は、シャロン・テート事件だけでなく、当時のハリウッド(ロマン・ポランスキーやドラマ『0011ナポレオン・ソロ』などなど)についても調べておくと、小ネタがたくさん見つかってより楽しめそうですね。

 そして、自分としては『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』はコメディ映画なので、肩ひじ張って見てはいけないのです。ゆったりと構えて、映画のリズムにノって見ていくと、長時間と言えど満喫することができます。当時のハリウッドを完全再現したと思われるこの雰囲気を見ているだけでも、十分楽しいです。何とも贅沢な映画体験ができました。