映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『ロボット2.0』~スーパースター降臨!~

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 7年ほど前に公開されるや、なんじゃこの映画は!とカルト的なブームを巻き起こした破天荒インド映画『ロボット』。ついに、その続編がパワーアップして帰ってきました。おかえり、ラジニカーント!おかえり、チッティ!

 

 

1.あらすじ

 インドの街にあるすべてのスマホが、一斉に空に飛んでいくという謎の事件が発生。続いて、携帯業者がスマホに殺されるという事件も起こる。この事件の謎を解くためにバシー博士と助手でロボットのニラーは捜査を開始する。そして、バシー博士は事件の解決のために、チッティを再生させる。

 

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2.スーパースター

 『ロボット2.0』を見始めて、いきなり面食らわされたのがスタッフロール。最初のスタッフ紹介のところで、急にSという文字が流れてきます。そして、続々とU、P、Eなどの文字が出てきて、「これはまさか」と薄々気づいてしまいました。そして、案の定現れたのは、SUPER STAR  RAJNI の文字。おぉ、マジか。

 

 RAJNIは本作の主演ラジニカーントの愛称です。『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995年)や『ボス その男シヴァージ』(2007年)などにも主演しているこの人は、インドではスーパースターと呼ばれて親しまれています。しかし、まさかその二つ名がそのまま映画本編に出てくるとは思いもしませんでした。だって、"STARRING(主演)  RAJNIKANT"とかではなくて、SUPER STARと出てくるんですからね。最初っから吹き出しそうになりましたよ。

 

3.『ロボット2.0』の見方

 これは、特に『ロボット』または『ロボット2.0』をこれから見ようとしている人、あるいは見たけどいまいちだったという人に言いたいのですが、この映画はインドのバカ映画です。クセが強いので、そこらへんを理解しておくと、楽しめると思います。

 

 インド映画というものは、慣れないうちは、やや冗長に感じたりするものかもしれません。ですが、それがインド映画のリズムなのです。特に『ロボット』シリーズについては、しつこいぐらいに色んなものを見せてくれます。でも、それも含めて面白いんです。いつまでそんなことやってんだよハハハと、軽く観るのが楽しむコツです。

 

 また、『ロボット』シリーズに特有の点として、なんとなく立派な話になりそうで、後半ではそれを全く無視していくことがあります。『ロボット』では人間と機械の差について、『ロボット2.0』では環境問題について少し真面目に語るのですが、後半においてはそんなことは関係ありません。とりあえず、悪い奴は大暴れし、チッティはノリノリになります。だから、「お、これは何かしらの真面目なテーマ性を持っているのかもしれない」とか余計なことはそんなに考えなくて良いです。へえー、ぐらいに思いましょう。

 

4.映画ってのはこう作るんだ!

 『ロボット2.0』は前作『ロボット』に比べて格段にレベルアップしています。特に、映像技術の進歩と、それを豪快に使った映像がもの凄い。

 

 映像技術に関しては、今回はあの『アベンジャーズ』や『トランスフォーマー』のスタッフも参加しているということで、かなりハリウッド映画に近づいています。前作の映像にはややちゃちなところも目に付きましたが、今回はそれほど気になりませんでした。

 

 そして、さらに凄いのはその技術をこれほどバカなことに使ってしまうこと。ほぼ全編、スマホが飛びまくり、人々を震え上がらせています。そして、前作同様チッティも増殖。あの名場面”チッティ・ボール”も登場します。エンドクレジットのときに流れるミュージック・ビデオみたいな映像も、本編と関係ないのにめちゃくちゃ凝ってる!本当に、わけわからんが面白い!

 

 そして、改めてチッティを観ていて思ったのですが、チッティの動きって微妙にダサい。特に、登場シーンでローラースケートをして、手を斜め下にピンと伸ばしているポーズは、アイアンマンの飛行シーン以上にダサい。そもそも、それほど体格が良いわけでもないおじさんのロボットなので、基本的にダサい。これは、ツボる(笑)

 

5.鳥と電磁波

 今回の悪役は、鳥を愛するあまり、鳥に悪影響を及ぼすスマホを使う人間たちに怒り狂った男です。これって明らかに、一段階余計なんですよね。スマホを取り上げれば問題解決じゃねとか思ってしまう。というか、スマホがあんな方法で人を殺せるということは全然知らなかった。知らなくても良かったけど(笑)

 

 実際のところ、電磁波が鳥に与える影響というのは、まだ証明されていなくて、なんとも言えないところです。今回の鳥博士が主張するように、電磁波のせいで鳥の方向感覚が狂うと主張している人もいますが、必ずしも電磁波が原因だとは特定されていないです。だから、皆さんはそれほど早急な判断はなさらずに、スマホで人を殺したりしないようにしてください。

 

 ちなみに、劇中でしばしば「第5の力」という言葉がでてきたので、軽く説明しておきます。物理学では、この世には4つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)のみがあると考えられています。言い換えると、この4つの力以外の力は存在しません。もし、これから我々がまったく予想だにしない現象が発見されて、それを説明するのに既存の理論では無理となった場合には、「第5の力」を導入する可能性もなくはないですが、とりあえずほぼないと考えても良いです。むやみに「第5の力」なんてものを持ち出すのはいかがなものかと、個人的に思ってしまいました。誰も信じないと思うので、別に良いんですけど。

 

6.まとめ

 『ロボット2.0』は、期待した通り、しっかりとパワーアップして帰ってきてくれた会心作でありました。そろそろ『ターミネーター』の新作が公開されるころですが、私は『ロボット2.0』の方を強くおすすめします。だって、こんなバカバカしく豪快なことが出来るハリウッド映画なんてありませんから。

 

 上映時間は147分と長めに思えますが、自分は全然そんなことは感じませんでした。むしろ、もっとチッティが大暴れするところを観たかったぐらいです。ジャー、チッティ!ジャー、ラジニカーント

 

豪快すぎるアクションに定評アリ↓

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