もしも、この世界にビートルズがいなくて、自分だけがビートルズを知っていたとしたら?
1.あらすじ
シンガーソングライターのジャックは、地元で鳴かず飛ばずで、音楽をあきらめようと思っていた。そんなとき、世界的な大停電が起きるが、彼はちょうどその時に交通事故に遭っていた。ジャックが目覚めると、そこは一見同じ世界だったが、誰もザ・ビートルズを知らなかった!
監督は、イギリスの名監督ダニー・ボイル。『トレインスポッティング』(1996年)、『スラムドッグ$ミリオネア』(2009年)で知られています。脚本は、リチャード・カーティス。監督としての代表作は、『ラブ・アクチュアリー』(2004年)、『アバウト・タイム 愛おしい時間について』(2014年)などです。
2.ビートルズについて
自分もそんなにビートルズに詳しいわけではないです。ビートルズが正しくは、ザ・ビートルズなことぐらいはちゃんと知っていますが。
ビートルズは、皆さん多かれ少なかれ知っていると思うので、改めて紹介する必要もないかもしれません。一応言っておくと、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人が組んでいたロックバンドです。出身は、イギリスのリヴァプール。
発表したアルバムは、「ヘルプ!」「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」「イエロー・サブマリン」「レット・イット・ビー」など、超名作ばかり。どれも一度は聴いたことがある名曲です。
3.キャスト
主人公のジャックを演じるのは、ヒメーシュ・パテル。おそらくご存じないでしょう。それもそのはず。今作が実質的に映画初出演になります。ドラマには、いくつか出ているそうですが。
ダニー・ボイルは、しばしばこういう感じで無名の人を主役に使います。そして、彼はその主役を見事に名優にしてみせる能力があります。ユアン・マクレガーは『トレインスポッティング』、デブ・パテル(同じパテルだけど、血縁関係はありません)は『スラムドッグ$ミリオネア』で、無名だったのが一気に有名になりました。その後も、彼らは映画界で活躍しています。ダニー・ボイルには、先見の明があるというか、俳優を育てるのが上手いというか。”名監督”たる所以ですね。
ジャックの幼馴染でマネージャーのエリー役は、リリー・ジェームズ。『高慢と偏見とゾンビ』(2016年)で有名ですね(笑) やっぱり、可愛いなあ。コンスタントに色んな映画に出てくれるので、嬉しいです。
そして、本人役でエド・シーラン。言わずと知れた有名アーティスですね。本作では、カメオ出演ではなく、がっつりストーリーに絡んで出てきます。見ていると、エド・シーランって、面白い人なんだなあと思いました。本当に携帯の着メロが「シェイプ・オブ・ユー」なのでしょうか(笑)?
10月11日(金)日本公開🎬
— 映画『イエスタデイ』公式 (@YesterdayJP) June 12, 2019
邦題『イエスタデイ』に決定🎶#エド・シーラン が写る初場面写真も到着🎸
豪華タッグの“音楽愛”によって生み出される、
ユニークなストーリー展開にぜひご注目ください!
▼エド&ボイル監督のコメントはこちらhttps://t.co/MDttKtxTha#映画イエスタデイ pic.twitter.com/0GzAQhZaip
4.ユニークなストーリー(ネタバレ)
そもそも「もし、この世界にビートルズがいなかったら」という設定が面白いですよね。「音楽」がなくなるわけじゃなくて、「ビートルズ」だけがなくなるっていうところがミソ。どうやったらそんな発想になるんだろう?
実際には、ビートルズ以外にもOasisもいないし(ビートルズなしで、オアシスは成立しないから?)、コカ・コーラもありません。でも、これらの要素は主人公のジャックがちょっと困るだけで、それ以外には特に意味がありません。でも、なんかコミカルな雰囲気を出してて、粋だなあと感じました。
ジャックの冴えない感じのルックスも良いですよね。エド・シーランも別にルックスは大したことはないのですが、大抵のアーティストってもっといかした雰囲気を出してますけどね。でも、ジャックは特にオーラも何にもない。このオーラのなさが、親しみやすくて、好きですね。
そして、ジャックもエリーも恋に関して奥手すぎやしませんか。あれだけ仲良くしていて、付き合っていないとか信じられないな。幼馴染だとそんなものなのでしょうか?それにしても、ジャック。お前は、本当にエリーのことを思っているのか?言い寄られたからってだけじゃダメだぞ。ちゃんと誠意を見せなさい。
5.優しい話(ネタバレ)
ところで、何回か修羅場になりそうでならない場面がありましたよね。ここは、実にリチャード・カーティスらしい。彼は、たぶん修羅場なんかあっても何も嬉しくないので、修羅場になりそうなところをするーと抜けていくことが多いです。これは、彼が基本的に人は優しいものだと考えているからでしょうね。そのおかげで、彼が脚本を書いた作品は、優しさあふれるものが多いです。
例えば、2人が黄色い潜水艦(イエロー・サブマリン)を持っていたところとか。これで終わりだと、ジャックは思うわけですが、実は彼らはジャックを応援していました。盗作だと言って、ジャックを非難する方が映画としてはやり易そうですが、カーティスはそんなことはしません。だって、ビートルズが好きな人なら、再びビートルズの曲を聞きたいはずだし、たとえそれが別のアーティストによるものであっても再現してくれたことに感謝するのは当然のはずです。
他にも、恋愛関係が泥沼になりそうなところも、すんなりと解決してします。リチャード・カーティスは、人間の優しさに信用を置いているのですね。そういう人もいると思うと、なんだか嬉しくなってきます。
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6.まとめ
『イエスタデイ』はとても優しい話です。そして、もちろん歌も良いです。だって、ビートルズですもの。ヒメーシュ・パテルも歌が上手いですし、エド・シーランも歌っています。適度にユーモアも効いていて、非常に面白い。
『ジョーカー』は、重すぎて見に行く気がしないという方、あるいは『ジョーカー』の口直しをしたい方は、この作品をおすすめします。『イエスタデイ』は、全国のTOHOシネマズなどで公開中。
これも良い音楽映画です↓