映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『プロメテウス』~創造主を探す旅の始まり~

Theodoor Rombouts (1597-1637) - Prometheus - KMSK Brussel 25-02-2011 12-45-49

 自分は、リドリー・スコットの『エイリアン』が好きで、歴史の残る傑作だと思っています。ものすごく怖いんだけど、SFとしてのデザインは非常に洗練されていて、エイリアンの造形も好き。SFとしてもホラーとしても、大傑作です。

 

 『プロメテウス』は、そんな『エイリアン』の前日譚になります。そして、リドリー・スコットが監督としてカムバック。結構評価が割れているのですが、自分は別に言うほど悪くはないんじゃないかと思います。

 

 

1.あらすじ

 地球上の複数の古代遺跡で、共通の星を指していると思われる壁画が発見される。これを古代に宇宙から来た者がいた証拠だと考え、エリザベス・ショウ博士らのチームはその星へ向かう。そこに隠されていた人類の起源にまつわる秘密とは何だったのか。

 

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 監督は、元祖『エイリアン』を撮ったリドリー・スコット。他に、『ブレードランナー』や『グラディエーター』など、幅広いジャンルで名作を作り出しています。

 

2.洗練されたデザイン

 私が『エイリアン』で一番すごいなと思うのは、そのデザイン性なのですが、そのスピリットは今回の『プロメテウス』にもきちんと受け継がれていました。

 

 まずは、宇宙船や宇宙服のデザインがやっぱり良い。宇宙船に関しては、白い丸型のテーブルなどノストロモ号(『エイリアン』の舞台となる宇宙船)と似通った部分もあったりして、嬉しかった。

 

 船外宇宙服は、黒を基調として、オレンジ色のラインが入り、首元に懐中電灯のようなライトが点くというものになっています。『エイリアン』シリーズでは、あまり船外宇宙服は出てこないので、これは一から作ったということになるのかな?現代的で、カッコいいですね。

 

 自分が今回のデザインで気に入っているのは、新登場した”創造主”。白くて彫像のような雰囲気がする、あの生命体です。今回は神話がモチーフになっているということで、その目的に非常に合った造形になっていて良いなと思いました。石像になっている姿も、とても威厳がありますよね。

 

 逆に、あんまり好きじゃないのが、今回のエイリアンの造形。タコみたいなやつです。イカかもしれない。どっちにしても、『エイリアン』世界のエイリアンとしてふさわしくないほど、化け物的。プレデターが恐ろしく醜いように、今回のエイリアンはただ醜い。元祖エイリアンのような洗練されたところがなくて、ちょっと気に入らない。

 

3.未完のストーリー(ネタバレ)

 自分はまだ続編の『エイリアン:コヴェナント』を観ていないので、この段階ではまだあまりストーリーのことを語れる段階ではないのかなと思います。近いうちに観て、記事をアップする予定なので、そこで核心部分のストーリーについては触れていきたいと思います。

 

 ただ、この段階での感想を言わせてもらうなら、『エイリアン』を意識しすぎて、展開はちょっと雑になっちゃったかなという感じがしました。この記事の冒頭のあらすじを書いていて、やっぱり苦しいなと思ったんですが、古代遺跡で証拠を見つけただけではるばる宇宙の彼方に行くというのは、無理がある。星が5つぐらい並んだ形がここにしかないから行くんだみたいな感じでしたけど、さすがに根拠が弱すぎる。

 

 そして、終盤で宇宙船が落ちてきて、あの女性が下敷きになるところ。横に逃げろや(笑) 一歩横にずれれば、避けられそうだったぞ。

 

 展開自体は、かなり『エイリアン』に近いところも多かったです。宇宙船から出ると何かの生命体がいそうだということを発見して、そいつが船内で腹から出てきたり(実際には、腹を破って出てくるわけではないというのは、ちょっと物足りなかったりもします)。アンドロイドが船員とは別に、企業から任されている任務があるところとか。アンドロイドの首だけがもげて、床に転がってからも喋るところも。そこまでファンサービスをしなくても良いよという気持ちにもなりました。

 

 それでも、核心のストーリー部分はかなり面白そうだったので、ここは期待です。『エイリアン:コヴェナント』次第で、『プロメテウス』の評価も大きく変わる可能性はあります。

 

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4.まとめ

 なんか褒めたりけなしたりで、結局どっちなんだという感じですが、全体的には面白かった。個人的に、こういった本格SFを観るのが久しぶりだったので、これだけの映像を観られたのは素直に嬉しかった。IMAXとかで観たかったなあ。

 

 展開には微妙なところも目に付きますが、ストーリーは次の展開に期待といったところ。つかみとしては、全然悪くない印象です。

 

 そして、やっぱりデザインは上手い。さすが『エイリアン』シリーズです。様々なガジェットや衣装がカッコいい。怪物はイカでしたが、”創造主”の方の造形は見事。SF神話的なモチーフに合ったデザインで、自分は好きです。