映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

海外ドラマ『ドクター・フー』シリーズ2~ドクター転生~

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http://www.doctorwhotv.co.uk/retrospective-series-2-2006-36316.htmより

 『ドクター・フー』シーズン2になり、ドクターは代替わり。今シーズンから、英国で最も人気の高いとも言われるデヴィッド・テナント=ドクターになりました。

 

↓シリーズ2予告編

www.youtube.com 2006年 全14話 1話あたり45分

 

 

ドクターの転生

 『ドクター・フー』では、定期的に「転生」というものが行われます。新シリーズ初の転生は、シリーズ1最終話で行われました。タイム・ロードという種族(ドクターもその一人)は、転生をして体を新しいものに変えることにより、何百年も生きることができます。転生をして変わるのは体だけであり、記憶などはそのままです。

 

 ドラマの方の事情を言ってしまえば、最初の転生は、初代ドクターが体調不良で続行できなくなったため、仕方なく役者を変えるための措置だったとか。それ以降は、定期的に転生が行われており、これが『ドクター・フー』ファン(フーヴィアンと言うらしい)の楽しみの一つにもなっています。

 

 007も俳優の代替わりはありますが、『ドクター・フー』と違い、映画の中ではしれっと変えります。つまり、映画の中で顔が変わったことに関する説明はなく、あくまでも何も変わっていないかのように続いていきます。こっちの方が一般的なのかもしれませんが、ちゃんと「転生」という説明を付けるドクター・フーも好きです。

 

10代目ドクター

 旧シリーズから数えて通算10代目(新シリーズ2代目)となるドクターに就任したのは、デヴィッド・テナント。イケメンの顔をしていながらも、やはりドクターらしく飄々として冗談を言ったりするのが面白いところ。目を大きく開いたり、片方の唇だけを上げる表情をしばしばします。スーツ姿に、茶色のコートがトレードマーク。

 

 デヴィッド・テナントは、1971年にイギリスのウェスト・ロージアンに生まれました。3,4歳のときに『ドクター・フー』を観て、俳優になることを志したのだとか。そういう人がドクターを演じることになったわけですから、好きなことは報われるものですねえ。

 

 他に、イギリスのドラマ『ブロードチャーチ~殺意の町~』や『グッド・オーメンズ』に主演したり、アメリカのMarvel『ジェシカ・ジョーンズ』にメインキャラの一人として出演したりしています。

 

登場人物2

ジャッキー・タイラー

 ローズの母親。娘思い。最初は、ドクターに対して猜疑心を抱いていたが、徐々に信用するようになる。夫(ローズの父親)のピートは、ローズが幼い頃に交通事故で亡くなった。

 

ミッキー・スミス

 ローズの恋人。時空を旅するローズのことを心配しており、本当は旅に行ってほしくないと思っている。ローズがドクターのことばかりを気に掛けているのも気に入らない。シリーズ2では、ついにローズとドクターとともに旅に参加する。

 

名エピソード(ネタバレ)

第0話「クリスマスの侵略者」

 宇宙人シコラックスが現代の地球に攻め込んでくるが、ドクターは転生の影響で昏睡状態。デヴィッド・テナント=ドクターが正式に登場する最初のエピソードになります。とは言っても、ドクターはほとんど昏睡状態なので、主に活躍するのはローズの方。最後になって、ようやく私たちはドクターの活躍を見ることができます。このエピソードから、「トーチウッド」という謎の言葉が何回か登場することになります。

 

第3話「同窓会」

 エイリアンが学校の先生になり、生徒たちを洗脳する話。ここで、サラ・ジェーン・スミスという女性が登場し、ドクターは大喜びをするのですが、おそらく大抵の日本人は誰?となったと思います(自分もそう)。サラ・ジェーン・スミスは、トム・ベイカー演じる4代目ドクターのコンパニオンだった人物。ロボット犬のK9も、このときのドクターの相棒でした。

 

 ちなみに、2007年からはスピンオフドラマ『サラ・ジェーン・アドベンチャー』が5シーズンに渡って作られました。『秘密情報部トーチウッド』などと比べると、やや子供向けだそうですが、スリジーンなど本編でもお馴染みのキャラクターが出てくるのは見逃せないところ。

 

第4話「暖炉の少女」

 少女の時にドクターに出会って以来、ときどきドクターと出会うレネット(後のポンパドゥール夫人)の物語。レネットは、ドクターやローズとは違い、危機がやってくるとわかっていても、普通の時間で過ごしていくしかありません。そんな中でも、力強く生きていくことを決断したレネットがとてもカッコいい。タイムマシンという装置を上手く使った展開であり、シリーズ屈指の名エピソードです。

 

 ちなみに、このエピソードはSF界で最も権威ある賞の一つ、ヒューゴー賞の短編映像部門を受賞。2006年からの『ドクター・フー』の新シリーズは、これまでに2006年、2007年、2008年、2010年、2011年、2012年の6回、同賞を受賞しているので、その点でも高く評価されているシリーズと言えるでしょう。

 

第6話「鋼鉄の時代」

 第5話「サイバーマン襲来」の続きになります。前話で、サイバーマンが新シリーズで初登場。サイバーマンといえば、ダーレクと並ぶ『ドクター・フー』の有名な悪役です。サイバーマンの悲しいところは、ただの機械ではなく人間を取り込んでいるという点。つまり、サイバーマンを倒すと中の人間も殺すことになるという、解消しがたいジレンマがあります。

 

 このエピソードでは、それまで共に旅をしていたローズの恋人ミッキーがパラレルワールドに残るという決断をします。それまであまり前線で活躍することの少なかったミッキーですが、最後にはドクターにも信頼されるようになります。カッコいい!

 

第10話「エルトン君の大冒険」

 個人的には、このエピソードは嫌いじゃない。ドクターとは違った視点から彼の冒険を描いたエピソードは大体面白いですよ。ドラマ『華麗なるペテン師たち』のマーク・ウォーレンが主役だったのも嬉しかった。ラストのオチ?はかなりしょうもないし、アブゾーバロフは救いようがないくらい気持ち悪かったですけどね。

 

第13話「永遠の別れ」

 シリーズ2最終話、そしてローズ・タイラーの最後の話になります。このエピソードでは、サイバーマンVSダーレクという夢の対決が実現します。この対決は、ここまで見た中で最も壮大かつ刺激的。そして、ドクターとローズの別れ。これでもうローズ・タイラーに会えなくなると思うと、やっぱり悲しくなってきます。

 

人間賛歌

 シリーズ2の顕著なテーマの一つが、人間賛歌。テナント=ドクターは、何度か「人間はバカだけど、助け合いをする素晴らしい種族だ」という発言をします。このように人間という種族の素晴らしさを伝えるのが、『ドクター・フー』の特徴でもあります。

 

 ドクターはあくまでもタイム・ロードという種族なので、人間を助ける義理はありません。それでも、彼はいつも地球を救ってくれます。ドクターによれば、人間はまだまだ未熟だけど純粋な心も持っている種族らしいです。だからこそ、ドクターはそんな人間たちを守ろうとしています。ありがたい。そんなドクターの期待に、私たち人間は応えなければいけないなあとも考えさせられます。

 

まとめ

 次シリーズからは、新しいコンパニオンが登場。果たして、どんな人物なんでしょう。そして、今度はどんなエイリアンが登場するのでしょうか。まだまだ目が離せない!

 

↓サイトを作り直したため、シリーズ3以降の感想&解説は「海外ドラマパンチ」にあります。

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