映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『ファースト・マン』~美しきかな、月~

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 アポロ11号で、人類史上初めて月面に降り立ったニール・アームストロングを描く『ファースト・マン』。映画館で観たかったんですけど、タイミングが合わず、今になってようやく鑑賞することができました。やっぱり、映画館で観たかったなあ。

 

 

1.あらすじ

 テストパイロットの仕事をしていたニール・アームストロングは、ある日NASAジェミニ計画に参加する宇宙飛行士を募集していることを知り、応募することにした。一方、彼の家族にはある大きな悲劇も起こっていた。

 

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 監督は、デミアン・チャゼル。『セッション』と『ラ・ラ・ランド』を監督していて、今回は初の音楽関係ではない映画となります。その腕前や如何に。

 

2.ジェミニアポロ計画とは

 アポロ計画はご存じの方も多いと思いますが、ジェミニ計画となると、ちょっとマイナーかもしれません。一応、映画の中でもちゃんと説明されているのですが、軽く整理しておきましょう。

 

ジェミニ計画

 それまでアメリカが行っていたマーキュリー計画は、人間を宇宙に送ることを目的としていました。そこで、今度は月に人を送ろうとなったわけですが、まだ十分な技術がなかったため、準備段階として行われたのが、このジェミニ計画。具体的には、1961~1966年かけて、12回飛行が行われ、10人の宇宙飛行士を宇宙に送りました。

 

アポロ計画

 1961~1972年にかけて行われた、人類を月に送る計画です。最終的に、12人の人間を月に降り立たせることに成功しました。ニール・アームストロング、バズ・オルドリン、マイケル・コリンズの3人を乗せたアポロ11号が、初めて月着陸に成功しました。

 

 映画では、アメリカ初の有人宇宙飛行計画であるマーキュリー計画を描いたのが『ライトスタッフ』、その後のジェミニ計画アポロ計画を描いたのがこの『ファースト・マン』、その直後のアポロ13号事故を描いたのが『アポロ13』になります。

 

 アメリカのその後の有人宇宙飛行は宇宙ステーションをメインにしたものになりました。ストーリー的にはちょっと地味なので、このあたりの映画はあんまりないのかな?チャレンジャー号事故を扱った映画とかあっても良さそうですけどね。ものすごく重い話になると思いますが。

 

3.家族の話

 『ファースト・マン』は、ジェミニアポロ計画の話を軸にしているとはいえ、主に描かれているのはニール・アームストロングとその家族になります。

 

 ニール・アームストロングを演じているのが、『ラ・ラ・ランド』にも出演したライアン・ゴズリング。今回は、徹底して静かな演技を見せています。たぶん、ニール・アームストロング本人がそういったタイプの人なのでしょう。感情が高ぶりやすかったら、とても宇宙飛行士なんてやってられないですからね。

 

 そして、クレア・フォイ演じるニール・アームストロングの奥さんがとても良い人。夫が、いつ死ぬかわからないミッションに挑むのを、献身的に支える感じがまさに理想的なパートナーであるなあと感じました。

 

4.月へ(ネタバレ)

 ニール・アームストロングが初めて宇宙に行ったのは、ジェミニ8号でした。ジェミニ8号は、史上初のドッキング(宇宙船同士をつなげる)を成功させたミッションになります。そのときに、事故が起こってしまって、帰還が危ぶまれたのですが、そこをアームストロングは上手く切り抜けます。こんな状況になっても冷静に対処して解決するアームストロングは凄い。尊敬します。

 

 彼が、次に宇宙に向かったのがあのアポロ11号。特に大きなトラブルもなく、月に降り立つことが出来たわけですが、この映像がとても美しかったですね。とともに、リアリティもあるんですよね。あの世界一有名な月面着陸の映像なども踏まえて、作られたシーンだと思いますが、月着陸を疑似体験しているようでした。無音で、無限に広がった空、無機質な月面などが再現されていました。ここは、映画館で観たかったなあ。

 

 そうして、ニール・アームストロングは、人類で初めて月に降り立った人物となったのですが、この映画を観ていると、本当にそれに相応しい人物だと感じさせられます。全人類の代表としてのライト・スタッフ(正しい素質)を備えた、人物だったのだと思います。

 

5.まとめ

 アポロ11号に関しては、個人的な思い入れも深いので、ニール・アームストロングという人物を深く知ることができたのは良かったです。そして、何よりもしばらく人類がご無沙汰してしまっている”月面”の映像を、見事によみがえらせてくれたのに感謝。

 

 月には、やっぱりロマンがあります。竹取物語の時代から、人々は月にロマンを抱いてきました。だから、また人類が月に立つ日が来てほしいと願っています。そして、いずれは火星にも行ってほしい。これは、科学的業績のためというよりは、人類が昔から抱いてきたロマンなのです。