待ちに待った『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』をIMAX3Dで見て参りました。今回は、スター・ウォーズ・サーガの完結編『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の感想を、ネタバレありで書いていきたいと思います。映画を未見の方は、ご注意ください。
最終予告編
感想
まず、一言で言うなら「楽しかった!」。そりゃ、そうですよ。スター・ウォーズですから。しかも、今回はIMAX3Dという最高の環境で観ることができたこともあって、本当に楽しかった。IMAXは、映像がきれいで、迫力があるので、こういったSF・アクション作品ではその旨味がよく出るんですよね。ちょっと値段は高くなりますが、ディズニーランドに行くのに掛かる値段と比較すれば妥当じゃないでしょうか。
今回も、宇宙で戦い、レイとカイロ・レンの戦いもあり、そしてさらに強大な敵との戦いもありと、見どころはたくさん。最初の、ミレニアムファルコンとTIEファイターのチェイスシーンから、気分は上がります。楽しむ映画という観点では、満点。
C-3POを修理するバブ・フリックが、また可愛かったですね。登場シーンは少なかったですが、好きなキャラクターです。
映画として◎
もう少し詳しく、解説も交えて書いてい行きます。まず、『スカイウォーカーの夜明け』を1本の映画として観た場合、非常に出来の良い作品だと感じました。EP7『フォースの覚醒』や『スター・トレック イントゥ・ダークネス』の監督もしているJ・J・エイブラムスだけあって、映像やテンポの良さ、適度にハラハラする展開などはお手の物。映像技術に関しては、文句のつけようがないでしょう。
でも、この映画を最高に楽しいものにしているのは、映像だけではありません。音楽の効果を忘れることはできません。音楽を担当しているのは、もちろんジョン・ウィリアムズ。EP4『新たなる希望』から、すべての作品の音楽を担当しています。今回も帝国のマーチやテーマ曲を、アレンジして使っている部分もあったりして、さすがです。スター・ウォーズがこれほどの大ヒットシリーズになっている理由の半分は、彼のおかげだといっても過言ではないでしょう。
カイロ・レンは始めから”悪役”ではなかった
今回のEP7~9で一番評価が分かれるのが、カイロ・レンというキャラクターについて。一番引っかかるのが、どう考えても、悪役として弱いという点です。EP7でレイに負けてしまうのは仕方ないにしても、いまいちファースト・オーダーの中で指導力を発揮できているようにも感じられず、悪の帝王という雰囲気はありません。
しかし、観客はなんとなくカイロ・レンはダース・ベイダーのような存在だと思ってしまっているので、ここにギャップが生じます。すなわち、カイロ・レンはダース・ベイダーぐらい悪い奴だと思っていたのに、実はそんなに強くなくて、肩透かしを食らわされたと感じる場合があるのです。カイロ・レンは、見た目もポジション的にもダース・ベイダーに似ているので、そう思ってしまうのはやむを得ないです。
でも、ここで考え方を変えるべきなのです。実は、カイロ・レンは始めから悪役ではなかったのだと。あくまでも、一人の青年に過ぎず、マスクを被ってファースト・オーダー軍にいるけど、それは成り行きでそうなっているだけだと。今はちょっと悪に心が傾いているけど、まだ決まっているわけではない。青年期の心情と考えれば、無理はないはず。
カイロ・レンにダース・ベイダー的な悪役を期待してしまいがちであるし、プロモーションもそういう感じで行われているからそう感じてしまうのだが、そうではない。EP7~9は、一人の青年としてのカイロ・レンの物語なのです。その点では、EP4~6とも違うし、歩む道が一本道ではない点でEP1~3とも異なるのです(EP1~3は、アナキンが闇堕ちすることが確定なので、道は決まっている)。
レイについて
今回明らかになるレイの正体が、パルパティーンの孫だったというのは、自分は好き。それまで、レイのフォースがカイロ・レンよりも強いことが謎だったわけですが、これなら納得。ダース・ベイダーよりもパルパティーンの方が強かったので、レイアの方がカイロ・レンよりも強いとすることはいたって自然。
それは良いんだけど、どうしても気になるのはパルパティーンの後出し感。今回いきなり出てきたじゃないですか。せめて、EP8でチラ見せするとか、あるいはスノークよりも強大な存在をほのめかすぐらいはしておくべきだったのでは?確かに今回いきなり登場して驚いたけど、ラスボスとしての存在感が若干弱くなっています。
それでも、パルパティーンの孫であるレイがダークサイドに堕ちる葛藤と戦うのは良し。EP6のルークとほとんど同じだけど。まあ、パルパティーンは絶対悪で、改心することは有り得ないという点で、ダース・ベイダーよりも強い呪縛があります。そのため、レイの葛藤はルークのそれよりも強かったのでしょう。
レイとカイロ・レンの関係については、あれはあれでアリ。最後にキスをしたからといって、二人が愛し合っていたわけではないでしょう。もちろん。二人は、強い絆で結ばれていたのです。兄弟愛みたいなもの。ソーとロキみたいな。EP7~9は、その要素を、さらに拡大して深く描いた物語でもあったのです。
終わり方の美学
『スカイウォーカーの夜明け』は、一応スター・ウォーズの完結編だったわけですが、その視点で考えるとどうでしょう。個人的には、ストーリーに過去の作品から借用したところも多く、「スター・ウォーズ」という偉大なサーガを締めくくる作品としては、いま一つと感じてしまったところもあります。
ところで、今年は他にも人気シリーズがいくつか終わったのですが、その一つが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)が終わりというわけではないのですが、この作品が大きな区切りにはなりました。これは、かなり完結編に相応しい作品だったと自分は思うのです。
特に、トニー・スタークとスティーブ・ロジャースの結末は、これ以上はないのではと思わせられるくらいです。きちんと伏線も回収され、観客に感動を与える展開でした。最強の敵サノスに対して、アベンジャーズ全員で戦うという構図も良かったです。『エンドゲーム』がMCUで最高傑作だと思っているわけでもないのですが、シリーズの終わり方としては理想的な形と言っても良いでしょう。
今年終わったものと言えば、他に海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』もあります。自分はまだ未見なのですが、どうやらこちらも賛否両論ある模様。人気リーガルドラマ『SUITS/スーツ』も完結したのですが、こちらは一話完結ドラマということもあり、ハッピーな終わり方をしたようです。そういえば、X-MENシリーズも『X-MEN:ダーク・フェニックス』をもって終結したようですが、こちらはどうだったんでしょうか?あまりにも噂を聞かなさ過ぎて、驚いているのですが。
人気シリーズを終わらせるのは難しいです。それは、わかります。だから、今回のスター・ウォーズがこういう形にならざるを得なかったのもわかります。EP8まで作ってしまった後で、どうやって結末をつけようかと考えた場合には、まあ最善の形と言っても良いのかもしれません。EP7から見通しを持って作られいなかったことが悔やまれますが、EP8の後にJ.J.ができることとしては最高のものを作り上げたのでしょう。
まとめ
いくつかネガティブな意見も述べましたが、最初に言ったように自分はとても「楽しかった!」です。それは、変えようのない事実。ストーリーも微妙なところこそあれ、肝心のレイの正体は個人的に気に入っています。カイロ・レンについては、また見方を変えて見てみると、新たな発見があるかもしれません。
そして、J.J.よ。Youは、なんだかんだスター・ウォーズを撮っているときが一番面白い。過去作へのオマージュと、新たなキャラクターを創出する能力に秀でています。Youに、次のスター・ウォーズを撮ってほしい。そう、次もあるんでしょ。そうですよね?キャスリーン・ケネディさん、ディズニーさん?(笑)
↓ドクター・フーは終わらないよ!