以前に『バーフバリ』(2015年)というインド映画を紹介しました。今回はその『バーフバリ』のスタッフが、2009年に製作した『マガディーラ 勇者転生』です。
1.あらすじ
ウダイガル王国の娘ミトラと相思相愛の関係にあった戦士バイラヴァだが、ラナデーブによって二人は思いを遂げられずに死亡。それから400年後の現代、バイラヴァはハルシャとして転生し、ミトラの生き返りとの再会を求める。
2.『バーフバリ』のパイロット版
本作は良い意味でも悪い意味でも『バーフバリ』のパイロット版(試作品)といった感じです。悪い意味とは言っても、主に技術的な問題とかなのですが。
まずは良い点は、バイラヴァのキャラ。戦いに強いけど、恋には一途で、優しいところとかはバーフバリ。そして、バイラヴァがなぜか良く知らないけど、民衆からジャイホーと言われてめちゃくちゃ好感度が高いのもバーフバリ。悪役の方が地位は上なのですが、民衆はバイラヴァのことばかり称えています。ここまで極端に主人公を持ち上げるのって、バーフバリぐらいのものですよ。
そして、回想パートの長さも『バーフバリ』らしい。『バーフバリ』を最初に見たときは、回想パート(父アマレンドラ・バーフバリのところ)が長くて面喰いましたが、そういうものだと思えば普通に面白かったです。この長めの回想パートが今回も取り入れられていました。今回は、メインが現代パートで、回想パートが王国の時代になります。『バーフバリ』ファンが求めているのは、回想パートでしょうが、現代パートも面白かったですよ。
『バーフバリ』と違うけど良かったところは、ダンスシーンの多さです。『バーフバリ』は長尺にも関わらず、ダンスシーンは2本を通して2回しか出てきません。その分を有り余る熱量で補っていますが、やっぱりインド映画にはダンスシーンが欲しい。本作には、そんなダンスシーンが2,3回たっぷり楽しめます。
少し残念だったのは、映像。さすがに、合成技術が見ていて辛いかな。あとは、『バーフバリ』と比べると、どうしても熱量が足りない感じです。まあ、尺が短めで、現代パートがあるので仕方ないとは思いますが。
3.覚え書
ちなみに、序盤で出てきた「MEGAスター」とは何者なのかって気になりませんか?映画の中であれほど持ち上げられる人なので、たぶんインドの映画スターなのでしょう。調べてみたところ、チランジーヴィという人でした。誰なのかと思ったら、インド版スリラーに出てました。もしかしたら、どこかで一回ぐらいは見た方もいるかもしれません。
こりゃ、確かにMEGAスターだわ(笑)。ちなみにこの人、実は本作の主演ラーム・チャワンの父親らしいです。
4.『バーフバリ』への布石
たぶん、本作を作って監督は思ったんでしょうね。回想パートの王国編をメインにして、もっとやりたい放題やっても良いんだって。主人公はもっともっと強くても良いんだって。それが『バーフバリ』。結果的に、『バーフバリ』はエンターテインメント映画としてものすごく面白いものになりました。
主人公を称えるという異例の構図は、ここで生み出されたものだったのですね。まさに『バーフバリ』の原点だったわけです。本作は、『バーフバリ』抜きにしても、ボリウッド映画として十二分に楽しいものなので、『バーフバリ』ファンもそうでない人も楽しめると思います。
『バーフバリ』の話↓