映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

インド映画『マッスル 踊る稲妻』は”アイ”の話だ!

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 これは踊るインド映画です。でも、決して踊るだけの映画ではないし、ただの筋肉映画でもありません。これは、”アイ”の話です。邦題に騙されないで!(2020年2月6日まで、GYAO!で無料配信中)

 

 

基本データ

・原題:I

・制作国:インド

・言語:タミル語、すなわちコリウッド映画

・上映時間:188分

・ダンス:5曲

・監督:シャンカール(『ロボット』『ボス その男シヴァージ』)

・出演:ヴィクラム、エイミー・ジャクソン(『ロボット2.0』)

・あらすじ:

 ボディビルダーのリンゲーサンは、人気モデルのディヤーに依頼されて、ともにCM撮影をすることになる。しかし、以前からディヤーの大ファンだったリンゲーサンは、彼女への思いが強すぎて、CM撮影が進まない。一方、街では謎の男が人々を襲っていた。

・予告編:

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豪華&ムキムキ

 『マッスル 踊る稲妻』は5曲も踊るインド映画なので、ちゃんと豪華なダンスシーンを観ることができます。CM撮影ということで、多くのダンスシーンが登場し、華やかな場面がたくさん出てくるのは眼福。自分は、3曲目のお花畑で踊るシーンが好きです。リンゲーサンがディヤーにベタ惚れして踊る2曲目は、ディヤーがマシンコスプレしてて『ロボット』のダンスシーンのまんま(笑)

 

 このディヤーを演じるエイミー・ジャクソンさんが、めちゃくちゃお美しいのです。『ロボット2.0』でのエイミー・ジャクソンはアンドロイド役なので、ずっと変なコスプレで化粧も濃いので、個人的にはいまいち。でも、今回の彼女は本当に美しいです。エイミー・ジャクソンを見ているだけでも、3時間は全く苦になりません。

 

 主人公のヴィクラムは特にイケメンというわけでもありませんが、筋肉はちゃんとあります。そんな筋肉バトルが見られるアクションシーンもこの映画の楽しさ(ちょっと長いけど)。最初の戦闘シーンで、皆で胸筋をピクピクさせるところは面白すぎる(笑)

 

 ところで、リンゲーサンは顔を整えても特別イケメンというわけでもないので、元のむさくるしい顔で「う~ん、マンダム」って言った方が商品が売れるんじゃない?チャールズ・ブロンソンみたいに。

 

謎の男の正体(ネタバレ)

 実は、この映画はどんでん返し映画なのです。とは言っても、薄々気づいていた人もいるかもしれませんが(自分は全くわかりませんでした)。インド映画で、こういった展開をあまり観たことがなかったので、自分は意外性もあって面白かったです。

 

 大抵のインド映画は、こういった時間軸が異なるストーリーが交互に進行することがあまりなく、基本的にまっすぐ進んでいきます(回想シーンはよくあります)。今回もてっきりそうだと思い込んでいて、この悪人そうな謎の男を主人公のムキムキ男がぶっ倒していく話なのかと思っていました。

 

 でも、実際はそうではなくて、謎の男は主人公がボロボロになってしまった後の姿だったのです。そして、それまでの残虐行為も復讐のため、そして愛するディヤーにためにやっていることだったのです。このように、終盤で謎の男に対する見方が180°変わるので、完全にやられちゃいました。感動です。

 

 このように謎の男が残虐行為をするところを、序盤から少しづつみせていく構成は他にもメリットがあります。というのも、もし他のインド映画と同じく復讐物語を後半でガツガツやっていくとなると、観客が飽きてしまいかねません。何しろ、復讐する相手は5人(ボディビルダー、モデル、オカマ、社長、医者)もいます。この復讐シーンを分散させたことで、映画全体に少しだけ緊張感を加えられているのも上手いところです。

 

 それにしても、今回リンゲーサンが行う復讐劇はかなりエグい。毛むくじゃらにするのはまだしも、火だるまにしたり、蜂で全身を刺したりと全く容赦がない。他のインド映画にもこういったエグい復讐劇が少なくないので、これはインドの文化なのかもしれません。他の国だと、「復讐なんか無意味だ」という結論になりがちなのですが、インドではそうはなりません。『マッドマックス』の世界観みたいですね。

 

まとめ

 『マッスル 踊る稲妻』は、ちゃんと踊るし、笑いもあるし、筋肉もある、非常に面白いインド映画でした。一番の欠点は邦題。観た人はわかると思いますが、これは原題通り”アイ”の話なのです。むしろ、原題の英語より、そのままカタカナにした方が映画の内容を上手く伝えています。ちょっと長いけど、気軽に観てみてください!

 

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