映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『レディ・バード』~ひねくれ具合が良いね~

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 つい先日観た『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』に続き、今回もA24の作品です。主人公の年齢は大体同じで、青春映画ではありますが、こっちの方が身近で親しみやすいかな。

 

 

1.あらすじ

 カリフォルニア州サクラメントに住む17歳のクリスティン(自称レディ・バード)は、高校最後の年を迎えていた。その中で、家族や親友、恋人、将来について悩み、過ごしていく。(2018年公開)

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 主演は、本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナン。現在25歳ながら、『つぐない』(2007年)や『ブルックリン』(2015年)でもアカデミー賞にノミネートされており、演技派としての道を確実に歩んでいます。

 

2.親しみやすい主人公

 この作品の一番の魅力は、主人公の親しみやすさです。『さよなら、退屈なレオニー』のときにはあまり共感できなかったと書きましたが、青春映画ってときに全然はまらないときがあるんですよね。そんなことで悩まないよとか、さすがにそんなことはしないとか。でも、本作のレディ・バードは実に等身大で描かれていて、非常に親しみやすかったです。

 

 特に、ひねくれ具合がちょうどいいんです。青春映画の主人公は、大体ひねくれていますが、ちょっとひねくれすぎなときも多いです。何から何まで反抗したり、すべてのことが嫌になってしまったり。でも、実際はそこまでなることって少ないと思います。

 

 レディ・バードほどほどにひねくれていて、自分の貧しい家庭を恨んだり、地元を出てニューヨークの大学に行きたいと思っています。その一方で、母親と一緒にスタインベックの『怒りの葡萄』を聞いて泣いたり、服を一緒に選んだりしています。多少気持ちのすれ違いはあるけれど、この母娘は結局仲が良いんでしょうね。なんか羨ましいですね。

 

3.親友、恋人(ネタバレ)

 レディ・バードの最初(定かではないが)の恋人は、おとなしめの雰囲気の青年ダニーでした。しかし、後にこの青年がゲイだと知ることになります。これは、なかなか複雑な心境になりますね。まあ、自分を異性として好きでもないのに付き合っていたのはアウトだと思いますが。

 

 そして、レディ・バードのそれまでの”親友”は、ちょっとぽっちゃりしたジュリーだったのですが、シスターにいたずらをしてからは人気者のジェナが”親友”になります。そこから、今度はイケメンのカイルと付き合い始めます。彼と初体験をしたわけですが、その後に実は彼がとんでもないプレイボーイだったと発覚。いやー、男運がないなあ。

 

 最終的に、ジェナやカイルは自分とは違うタイプだと気づいたレディ・バードはジュリーの元に戻っていきます。いろいろ経験したうえで、自分の本当の居所を見つけたといったところでしょうか。

 

4.旅立ち(ネタバレ)

 レディ・バードは高校を卒業して、ニューヨークに行くことになるのですが、やっぱりこのあたりのシーンが一番良いです。まずは、娘にちょっとあっさりと接していた母親が、空港を出るときにもう一度引き返してくるところ。ベタなシーンかもしれないけど、良いですよね。

 

 そして、レディ・バードはニューヨークに行ってからは親がくれた本名のクリスティンを名乗ります。それまで、頑なに自分はレディ・バードだと言っていましたが、ニューヨークに来て親にどれだけ愛されていたかに気づいて本名を使います。ここは、非常に良い。本作のすべてが詰まっています。

 

5.覚え書

  ここは、映画を見ていて自分が本編と関係なく思ったことを書くだけなので、読み飛ばしても良いです。

 

 本作の舞台はサクラメントなのですが、ここって田舎だったっけと見ていて気になりました。カリフォルニア州の州都だし、栄えてそうな印象でした。ドラマ『メンタリスト』の舞台もカリフォルニアで、捜査本部はサクラメントにあるのですが、そんなに田舎とは感じませんでした。まあ、でも高層ビルが立ち並ぶほどではなかったので、ロサンゼルスなどど比べるなら確かに田舎です。日本で言うなら、名古屋ぐらいかな。

 

 あ、そうだ。ladybirdってladybugと同じで、テントウムシという意味らしいです。序盤で、レディ・バードが選挙のポスターに鳥の絵を描いているので、てっきり鳥のことだと思ったのですが違いました。

 

6.まとめ

 本作は主人公が親しみやすいという点で、他とは違ってとても良い青春映画になっています。だから、青春映画をよく見る人もそうでない人も、老若男女に見てほしい作品です。これは本当におすすめ。

 

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