アン・ハサウェイがB級モンスター映画に出ていたことをご存じでしたか?しかも、それほど昔の話ではなく、ほんの4年ほど前。今回は、そんなちょっと特殊な背景もあり、内容も単にモンスター映画と括ることが出来ないような『シンクロナイズドモンスター』をご紹介します!
『シンクロナイズドモンスター』基本データ
・原題:Colossal
・公開年:2017年4月7日(アメリカ)、2017年11月3日(日本)
・上映時間:110分
・監督:ナチョ・ビガロンド
・主演:アン・ハサウェイ
・あらすじ:
グロリアはだらしがなさすぎて、彼氏のティムに捨てられてしまう。彼女は、自分探しとして故郷の田舎町に戻り、そこで幼馴染のオスカーと再会することになる。そのとき、ソウルでは巨大怪獣が街を襲っていた。ある日、グロリアはその怪獣の動きと自分の行動が一致していることに気づく。
・予告編:
アン・ハサウェイッ!!!
『シンクロナイズドモンスター』の一番の特徴は、アン・ハサウェイが出ていること。製作費もさほど多くもないのに、なぜ彼女が出演しているのか。それは、彼女自身が出演したかったからです。どうしてもこの映画を作りたかったので、製作総指揮もやっちゃいました(笑)
どうして、アン・ハサウェイがこういったB級モンスター映画にそんなに取りつかれてしまったか。それは、(Wikipediaによると)彼女自身がスランプに陥っていることに気づいたからだそう。アン・ハサウェイといえば、『レ・ミゼラブル』(2012年)でアカデミー賞を獲り、『インターステラー』(2014年)、『マイ・インターン』(2015年)に出演。いつスランプだったのでしょう!? ぜひ気を確かに持って今後も活躍してもらいたいものです。
先に、この『シンクロナイズドモンスター』の一般的な評価について触れておくと、これは賛否割れています。批評家の間でも肯定派と否定派で割れています。ただ、興行的に見てみると、製作費の半分も回収できておらず、失敗だったと言わざるを得ません。
『シンクロナイズドモンスター』感想(ネタバレなし)
『シンクロナイズドモンスター』は、正直モンスター映画としてはいまいちです。第一、モンスターの出番が少ない。そして、実際にモンスターが襲うのが、主人公たちのいるところではなく、遠く離れた韓国なので緊迫感もありません。なぜ、怪獣大国・日本ではなく韓国なのかというのも気になったが、どうやらそれは東宝との大人の事情があったらしく仕方ないのかもしれません。
モンスターや巨大ロボットの造形は良かったです。モンスターに可愛さがありました(アン・ハサウェイのおかげ?)。ハリウッド映画の怪獣といえば、『GODZILLA ゴジラ』のムートーにしても『クローバーフィールド』の怪獣にしても、ただグロテスクなだけで可愛げがありません。そういう意味では、『シンクロナイズドモンスター』のモンスターは、ハリウッドらしくなくて良かったです。
というかそもそも、『シンクロナイズドモンスター』はモンスター映画なのかといえば、否です。全くモンスター映画ではないし、始めからそうするつもりもなかったのだと思います。モンスターとロボットは、あくまでもグロリアとオスカーの確執を分かりやすく描くために存在しています。
そういった人間ドラマ的な観点でこの映画を観るならば、『シンクロナイズドモンスター』は見所があるかもしれません。特に、アン・ハサウェイが珍しくだらしない女性を演じているのは、興味深いです。『プラダを着た悪魔』などでのアン・ハサウェイは、ドジではあるにしても、だらしなくはないですからね。普段はあまりやらない役柄とはいえ、そこはアン・ハサウェイほどの女優。しっかりと演技で魅せてくれます。
それにしても、この映画で一番可哀そうなのはソウルの人々ではありませんか?グロリアとオスカーに痴話喧嘩に勝手に巻き込まれ、巨大怪獣とロボットに襲われるとは、とんだ迷惑です。とは言っても、怪獣が何回もソウルを襲っているのなら、ソウルの人たちもさすがに避難しそうなものじゃないですか? 毎回、皆で逃げ回っていたけど、ちょっと危機感なさすぎます。という、どうでも良いツッコミです(笑)
『シンクロナイズドモンスター』まとめ
『シンクロナイズドモンスター』は、アン・ハサウェイが出ている怪獣映画なんですよ(怪獣が出ているという意味での「怪獣映画」)。それだけで十分ではないかとも思います。今回のアン・ハサウェイも可愛かったし、彼女の演技力のおかげで物語に多少の見どころはありますから。それに、怪獣の造形自体は非常に良い。怪獣の出演シーンが少ないのがもったいないのですが、この可愛い怪獣も見どころの一つです。