いやはや、全く予想外でした。昨年11月に自分なりにラジー賞の予想をしていたのですが、まさかあれほどの爆弾作品が12月になって登場するとは思っていなかった。今回のラジー賞は、『キャッツ』が大活躍をしそうです。
まずは、ラジー賞ノミネートの作品が発表されたので、まとめておきました。ラジー賞会員は、この中から受賞作品を投票によって選出します。受賞作品が発表されたときにはこの記事を更新して、結果を載せたいと思います。
追記(3月17日):ラジー賞授賞式は3月15日に行われる予定だったのですが、コロナウイルスの影響で16日に延期されました。以下に、受賞作品も含めて書いていきます。
↓去年11月時点での自分の予想
※ラジー賞は、あくまでもちょっと残念な映画をいじる賞です。ここにノミネートされているからといって、その作品がつまらないとは限りません(というか、面白い作品も入っています)。というか、本当につまらない作品は、そもそも誰も見ないので、ノミネートすらされません。
受賞&ノミネート作品
ラジー賞2020の受賞作品及びノミネート作品の一覧です。受賞作品は色文字で書いてあります。
最低作品賞
『キャッツ』
『The Fanatic』
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』
『タイラー・ペリー マデアの家族葬』
最低監督賞
フレッド・ダースト『The Fanatic』
ジェームズ・フランコ『Zeroville』
トム・フーパー『キャッツ』
最低主演男優賞
ジェームズ・フランコ『Zeroville』
デヴィッド・ハーバー『ヘルボーイ』
マシュー・マコノヒー『セレニティー:平穏の海』
ジョン・トラボルタ『The Fanatic』『ワイルド・レース』
最低主演女優賞
ヒラリー・ダフ『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』
フランチェスカ・ヘイワード『キャッツ』
タイラー・ペリー(マデア役)『タイラー・ペリー マデアの家族葬』
レベル・ウィルソン『ザ・ハッスル』
最低助演男優賞
ジェームズ・コーデン『キャッツ』
タイラー・ペリー(ジョー役)『タイラー・ペリー マデアの家族葬』
タイラー・ペリー(ヒースローおじ役)『タイラー・ペリー マデアの家族葬』
セル・ローゲン『Zeroville』
ブルース・ウィリス『ミスター・ガラス』
最低助演女優賞
キャシー・デイヴィス『タイラー・ペリー マデアの家族葬』
ジュディ・デンチ『キャッツ』
レベル・ウィルソン『キャッツ』
Fenessa Pineda『ランボー5/ラスト・ブラッド』
最低脚本賞
『キャッツ』
『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』
『ヘルボーイ』
『タイラー・ペリー マデアの家族葬』
最低スクリーンコンボ賞
半分ネコ半分人間の毛玉たちの中の任意の二つ『キャッツ』
ジェイソン・デルーロ&彼のCGによって去勢された膨らみ『キャッツ』
タイラーペリー&タイラー・ペリー(またはタイラー・ペリー)『タイラー・ペリー マデアの家族葬』
シルベスター・スタローン&彼の無気力な怒り『ランボー5/ラスト・ブラッド』
ジョン・トラボルタ&彼が受け入れたすべての脚本
最低リメイク・盗作・続編賞
『X-MEN:ダーク・フェニックス』
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
『ヘルボーイ』
『タイラー・ペリー マデアの家族葬』
名誉挽回賞
キアヌ・リーブス『ジョン・ウィック:パラベラム』『トイ・ストーリー4』
アダム・サンドラー『アンカット・ダイヤモンド』
ウィル・スミス『アラジン』
最も人命と公共利益を考えず無視したで賞
『Dragged Across Concrete』
『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』
『ヘルボーイ』
『ジョーカー』
作品解説
12月に公開されて間もないながら『キャッツ』が最多9ノミネート。トム・フーパー監督、テイラー・スウィフト、ジェームズ・コーデンなど豪華キャストを揃えていながら、CGによる人間ネコが気持ち悪いと評判になっています。ストーリーは舞台通りなんじゃないのかなと思っていたのですが、賛否両論な模様。歌は良いだけに、もったいなさすぎる。
続いて8ノミネートで、『タイラー・ペリー マデアの家族葬』。これは、2005年の『Diary of a Mad Black Woman』から始まるマディアおばさんシリーズの11作目にして最終作。日本では1作も劇場公開されていませんが、アメリカでは週間興収1位を記録することもあり、それなりに人気があるらしいです。
『The Fanatic』は、ジョン・トラボルタ主演のサイコスリラー映画。憧れの俳優に執着している男が主人公なのだそう。『ミザリー』や『キング・オブ・コメディ』みたいな雰囲気がするのですが、その期待は裏切られる可能性が高そうです。
『Zeroville』は、アメリカの作家スティーヴ・エリクソンの同名小説を映画化したもの。原作は、映画狂の青年が主人公で、『めまい』や『ロング・グッドバイ』などの名作映画への言及も多い作品です。ハリウッドが映画化したなら、かなり面白そうな内容になりそうなあらすじなんですけどね。
『ランボー5/ラスト・ブラッド』は、お馴染みシルベスター・スタローンのランボーシリーズ5作目。まあ、いつも通りなのでしょう。
『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』は、実際に起こった女優のシャロン・テート殺害事件を描いたホラー映画。シャロン・テート殺害事件と言えば、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でも扱われていました。しかし、その出来には雲泥の差があったのかもしれません。
ラジー賞2020解説
12月から突如ラジー賞最有力に名乗りを挙げた『キャッツ』が最多ノミネートなのは、もう仕方ないか。スタローンはラジー賞常連で、多すぎるシリーズ続編ものもラジー賞に強いので、『ランボー5/ラスト・ブラッド』も必然と言えるかもしれません。『タイラー・ペリー マデアの家族葬』『ヘルボーイ』も同様。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、賛否両論ですからね。ラジー賞に選ぶ人がいても仕方がないところか。でも、エメリッヒ版ゴジラに比べればはるかにましだと思うよ。自分は。
今年、新たに設置された部門が「最も人命と公共利益を考えず無視したで賞」。個人的には、なぜこの賞を作ったのか疑問しかない。不必要な暴力・アクションシーンを皮肉るためのものなのかもしれないけど、わざわざ槍玉に上げるような作品もなかったように思うのです。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、全宇宙の半分の生命が失われたけど、それは良かったの?
まあ、ラジー賞会員はアベンジャーズが好きですから、そんなことは絶対にしないでしょう。だって、某力持ちの神様ヒーローを演じている俳優が主演したSF映画シリーズ最新作は、その評価の割に一つもノミネートされてないでしょ。
ちなみに、自分の予想が当たったのは今のところ『ヘルボーイ』のみ。近年多かったアニメ作品が、今年のラジー賞では一つも入っていないのが特徴的。『名探偵ピカチュウ』のライアン・レイノルズは入れてほしかったんだけどなあ。ストーリーに文句は言わないけど、ピカチュウの声がおじさんなんだから、これはラジー賞ものでしょ(笑)
追記:受賞作品発表を受けて
アカデミー賞が前倒しされたことやコロナウイルスの影響で、普段と色々とスケジュールが異なったラジー賞2020でしたが、今回も無事終了しました。最多受賞は、『キャッツ』の6部門。次が、『ランボー5/ラスト・ブラッド』の2部門でした。まあ、妥当という感じですね。あれだけ期待の大きかった『キャッツ』だけに、完全にしくじってしまったと言わざるを得ません。
でも、さすがにトム・フーパー監督が可哀そうになってきましたね。せめてトム・フーパーは、『英国王のスピーチ』(2010年)や『レ・ミゼラブル』(2012年)といった名作も撮っているということは忘れないでおきましょう。
『キャッツ』のジェームズ・コーデンとレベル・ウィルソンが受賞したのは、これは完全に彼らが悪いですからね。アカデミー賞で『キャッツ』をバカにするようなパフォーマンスをして罪を重ねたのは彼ら自身なので、これはもう当然です。
『ルディ・レイ・ムーア』で名誉挽回賞を受賞したエディ・マーフィは見事です。コメディアンのイメージが強いエディ・マーフィですが、今回の『ルディ・レイ・ムーア』で演技もしっかり出来るんだぞというところを見せてくれたようです。今後の活躍にも期待したいところです。