戦争映画って、重いので、そんなにいつも観たいとは思えないのですが、ときどき観ると色々学べて良い。戦争の実態とか、映画の撮り方とか。名監督と言われる人は、少なくとも一本ぐらいは戦争映画を撮っているものなので、その監督の特徴を比較するには絶好の材料なのかもしれません。
1.あらすじ
イラク戦争で、爆弾処理を請け負うサンボーンらの班に、新しくジェームズという班長が入る。しかし、彼の破天荒な行動のせいで、彼らの班は何度も危険にさらされる。(2009年公開)
監督のキャスリン・ビグローは、本作で女性初のアカデミー賞監督賞を受賞しました。他に、ビンラディン暗殺作戦を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』(2013年)や、実際の暴動事件を描いた『デトロイト』(2018年)などを撮っています。ちなみに、『ハート・ロッカー』は、他にもアカデミー賞作品賞や脚本賞を受賞しています。
2.銃から覗く景色
監督賞を獲っているだけあって、その撮影は見事。ハリウッド映画としては、それほど予算が掛かっている方ではないのですが、映像には見ごたえがあります。
白眉は、彼らが砂漠の中で突然狙撃されてからのシーン。ここの場面は、非常に緊張感があります。仲間が撃たれて死んでいく中、敵に狙いを澄まします。しかし、敵は遠くにいて、上手く狙いが定まらない。相手が撃ってくるか、自分が撃つか。自分が撃った弾は、当たるのか。ハラハラさせられます。
この場面が、砂ぼこりやハエを用いて効果的に映し出されてるんですよね。さらに、銃のスコープから覗く不明瞭な標的も、その場のサスペンスを高めています。ここは、本当に上手いなあと思います。
3.人間爆弾(ネタバレ)
『ハート・ロッカー』で一番ショッキングなシーンといえば、子どもの体の中に爆弾が仕込まれていたところでしょう。本当に痛ましいです。具体的にどういう目的で、どういう経緯でそんなことになってしまったのかはよくわかりませんが、どう考えたところで非人道的な行為です。
そんな少年を見つけたジェームズも、非常に痛ましい。観ていられないくらい辛かったです。これが本当に起きていることなのかはよくわかりませんが、もしそうなら、恐ろしすぎる。それ以上の言葉が見つからない。
4.死(ネタバレ)
自分がこの映画を観ていて、一番印象に残ったのは、人はあっけなく死んでいったいくということです。冒頭の班長の死はそれなりに、ちゃんと描かれていた印象でしたが、他の犠牲者はかなりあっさりと亡くなります。
特に、軍医が爆発で亡くなるところには、そのことを強く感じました。軍医自体はそれほど登場シーンは多くなく、爆発シーンも一瞬です。爆薬があると気づくか気づかないかぐらいで、次にはもう爆発しています。
そして、最後の爆発もそうですね。アラブ人の男性が爆弾を巻かれてしまい、ジェームズたちが爆弾の解除をしようとします。ここで、多少でもエンタメ性を求めたり、米軍を美化しようと思ったら、爆弾は解除されるはずです。そんなシーンは、他の映画でもたくさん観てきました。
しかし、彼らは解除できず、爆弾を巻きつけられた男性はそのまま亡くなってしまいます。この展開は、結構後味が悪いです。ジェームズは、ヒーローになることはなく、帰還することになるわけですから。それが現実なのだなと思わされます。そうすべてが上手くいくわけはありません。
5.まとめ
『ハート・ロッカー』は、爆弾処理班の物語です。と同時に、あまりにも短すぎる死を描いた物語です。死がとてつもなく近くにあり、それがいつやって来てもおかしくない。それが戦争という場です。次の瞬間には、隣の人が死んでいるということが、起こりう空間なのです。
戦争では、いつだって人はあっけなく死に得る。たとえ、一般人であっても、多少の軍功を挙げた人物であっても、それは例外ではない。
ちなみに、ジェレミー・レナーが家に侵入するときに、その動きがスパイにしか見えなくて、めちゃくちゃカッコ良かった。これが買われて、『ボーン・レガシー』(2012年)に抜擢されたのかもしれないと考えると、納得。
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