映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『ホテル・エルロワイヤル』~ワンハリの闇~

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 町はずれのホテルに、7人の男女が集まるが、皆何かを隠している……。面白そう。

 

 

1.あらすじ

 カリフォルニア州ネバダ州の境目に建つホテル・エルロワイヤル。ここに、うるさいセールスマン、怪しげな神父、歌手、謎の美女がやってくる。互いに何の関係もない彼らだが、皆一様に何かを隠しているようであった。(2018年公開)

 

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 監督のドリュー・ゴダードは、『キャビン』(2013年)も監督しています。他に、脚本家として『クローバーフィールド』シリーズや、『オデッセイ』(2016年)も手掛けています。

 

2.注目キャスト

ジェフ・ブリッジス

 神父役。『キング・コング』(1976年)、『フィッシャー・キング』(1991年)、『ビッグ・リボウスキ』(1998年)、『トゥルー・グリッド』(2010年)などなど、幅広い映画に出演しています。アカデミー賞は7回ノミネート、1回受賞しています。

 

ダコタ・ジョンソン

 ホテルに泊まる謎の女役です。『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』シリーズのアナ役で一躍有名になります。名作ホラーのリメイク『サスペリア』(2019年)にも主演しました。

 

クリス・ヘムズワース

 後半で登場します。『アベンジャーズ』シリーズのマイティ・ソーとして有名です。最近では、『メン・イン・ブラック インターナショナル』(2019年)に主演していました。『キャビン』にも出演しています。

 

3.前半は面白い(ネタバレ)

 もう、結論を言ってしまいましょう。『ホテル・エルロワイヤル』の前半はとても面白いです。ただ、後半はちょっと残念な感じになってしまっています。

 

 前半が良いというのは、謎の出し方が良いんです。何となく怪しげな客がたくさんいますし、ホテル自体も何だか怪しげです。なかなか期待させる始まりです。

 

 そこからの展開も面白い。セールスマンが実は捜査官だったことが早々にわかります。やっぱりこいつは怪しかった通りでした。そして、神父は酒に何か入れているし、歌手はそんな神父を一発で倒してしまいます。

 

 中盤も面白いのですが、同時にミスをしてしまっています。中盤で語りすぎです。ほとんどすべての秘密が、部屋をのぞき見するシーンで明かされてしまいます。だから面白いのですが、それ以上のネタが終盤に残っていなかったのが惜しまれる。

 

 唯一、終盤まで残っていた謎はホテルのボーイが何を告白しようとしているかということですが、これがなんとも拍子抜け。戦争のことで悔い改めたいのはわかります。でも、これだけ謎を醸し出しておいて、本筋と何の関係もない告白をされてもなあ。もっとホテルに関係した、深い謎があるのかと思ってしまいました。

 

4.ミステリー映画じゃない!(ネタバレ)

 謎の扱い方がそんな感じなので、これをミステリー映画だとして見た私は、がっかりしてしまいました。むしろ、社会派というかそんな感じの映画でした。

 

 最後に、ベトナム戦争を持ち出してくるあたりが、社会派。ヒッピーもそうですよね。本当に伝えたかったことは、たぶんこっちです。でも、神父と歌手がこっちのストーリーと関係してこないからぼやけてしまう。

 

 見ていて思い出したのが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。これは、ハリウッドの光と闇を描いた作品でしたが、『ホテル・エルロワイヤル』は、この時代の闇にフォーカスした作品です。こう考えると、神父の犯罪や歌手の闇も含めて考えられます。

 

 ちなみに、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』と同じ曲も使っていました。ナーナナナーっていうサビの、ディープ・パープルの「Hush」とか。

 

5.まとめ

 『ホテル・エルロワイヤル』は、ミステリー映画の雰囲気自体は面白い。でも、実際にはミステリー映画ではないので、そこを気に入られるかが鍵になりそう。自分は、普通にミステリー映画を期待していたので、ちょっとがっかりでした。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を見る感じで、悠々と構えて見ると良いかもしれません。

 

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