映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『ゾンビ』~70年代痛快アクション~

Dawn Of The Dead logo

 今回のゾンビ映画は、そのままずばり『ゾンビ』(1978年)。監督は、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロです。やっぱり、ゾンビ映画を観るなら、ロメロぐらいは観ておかないとね。

 

 

1.あらすじ&監督紹介

 SWAT隊員2人と、一組のカップルは命からがらヘリコプターでテレビ局を脱出する。ショッピングモールに着陸し、ここなら何とかなると思っていた彼らだったが……。

 

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 原題はDawn of the Dead(直訳:死の夜明け)です。2004年には、ザック・スナイダー監督によるリメイク『ドーン・オブ・ザ・デッド』が作られています。当時の映画界の状況と、現代のゾンビ映画が氾濫している状況を比べるに、この映画が後世に与えた影響は計り知れないことが伺えます。

 

 監督は、ジョージ・A・ロメロ。1968年にゾンビ映画ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を撮り、ゾンビ映画というジャンルを確立した、カルト映画界の偉人です。他に、『死霊のえじき』(1985年)、『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005年)などのゾンビ映画も作っています。

 

 『ゾンビ』には、アメリカ劇場公開版やディレクターズ・カット版など色々なバージョンがあるそうですが、マニア以外の方はそんなに気にしなくても良いのかなと思います。一応言っておくと、自分が観たのはダリオ・アルジェント監修版です。

 

2.70年代アクション

 この映画は、70年代アクションの色が思っていたより濃かったので、結構楽しました。もっと暗くて、ジメジメした感じなのかなと思っていたんですよね。でも、実際は銃をぶっ放しまくったり、ヘリを多用したり、大型トラックを乗り回したりするので、非常にエキサイティング。

 

 70年代アクションの色をもっとも強くかんじたのは、その音楽。ちょっとテクノ調も入った、テンポの良いこのサントラを聴いていると、なんだか楽しくなってきます。70、80年代は、今よりもサントラに凝っていたので、サントラの名曲が多いですよね。こういったゾンビ映画でも、音楽に気を抜いていないので、これは非常に高印象でした。

 

3.ぶちっ、ぐちょぐちょ

 『ゾンビ』のスプラッター演出は、なかなか容赦がない。血が噴き出したりするぐらいは良いんですよ。でも、人を食いちぎったり、終いには内臓を取り出したりなんかしていますからね。うぉー、おおお。おー。グロい。

 

 ロメロの洗礼を浴びた感じですね。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は、まだ観たことがないのですが、こっちはどうやら白黒映画らしい。むしろ、白黒の方が怖かったりしそうだなあ。今度、観てみなくちゃいけませんね。

 

 この映画は、ゾンビ映画の黎明期に作られただけあって、ゾンビの造形は非常に典型的。典型を作ったのがロメロなので、それは当然のことではありますが。顔は青白く、動きはノロい。手は前に突き出して、目的もなく歩き回ります。誰が見ても、一目でゾンビとわかります。

 

 実は、意外と色んな人がゾンビになっていて、よく見ると、ガンジーみたいな人とか看護師とかもいるんですよね。デキるサラリーマン風の人とか、ガリ勉みたいな人もいて、自分と共通点がありそうな人もいました。ゾンビを観ているだけでも、楽しいかも。

 

4.ショッピングモールで大乱闘(ネタバレ)

 ストーリーの筋は、ゾンビに襲われてなんとかするというだけです。そりゃ、ゾンビ映画ですから。親しい人の死をそれほど嘆く風でもなく、ややドライな印象。

 

 観ていて、最初にちょっと驚いたのが、早々にSWAT隊員の一人が自殺するところです。早っ。それって、普通は絶望に陥った主人公が最後にやることじゃなかったっけ?いきなり自殺されても、ちょっと意味が分からないと思っていました。

 

 ですが、最後まで見れば、まあそれなりに意味のあるシーンだったのかなと気づきました。最後に生き残ったSWAT隊員が、自殺をする素振りを見せるのですが、やっぱり戦う気力を取り戻します。最初の自殺は、このシーンへのフラグだったんだなと、ここでようやくわかりました。

 

 『ゾンビ』は、大部分がショッピングモールを舞台に展開するのですが、これが凄く面白い。ショッピングモールなので、すべて揃っているから、何でもやり放題。ゾンビたちと戦うための道具や食料もあれば、遊ぶものもいくらでもあります。自分も、ここで好き放題遊んでみたいなとか思いますよね。そんな中を、ゾンビたちがふらふら歩いているのも、これは何だかシュールで笑えてきます。

 

 そして、ショッピングモールには、ガラス張りもたくさんあるんですよね。これ大事。ゾンビがわちゃわちゃ襲ってくるところは、ちゃんと見えないといけません。加えて、エレベーターのシーンなんかは、超有名。ゾンビといえば、これっていうぐらい、色んなところで似たようなシーンを観たことがあります。こういった見せ場がちゃんとあるので、この映画にインスパイアされた後輩たちが、これほどに多いんでしょう。

 

5.まとめ

 ゾンビ映画が大量発生しているこのご時世に、元祖『ゾンビ』を観るのは、また一興かもしれません。いろんなゾンビ映画が、この映画のオマージュやパロディを入れていたりします。だから、その元ネタを知るという意味でも、一見の価値はあります。

 

 映像とか編集面では、まだまだ未熟なところも見られますが、許容範囲ですかね。時代とゾンビ映画というジャンルを考えれば、それほど気にならないかと思います。まあ、めちゃくちゃグロイですけど。

 

 ちなみに、11月29日から劇場で「日本初公開復元版」が公開されるそうです。これを映画館で観たら、相当怖ろしいかと思いますが、忘れられない体験にはなりそうです。

 

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