今回はAmazon制作のドラマ『betas/ベータス』。シリコンバレーでの起業を描いた熱いコメディドラマになっています。
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あらすじ
IT産業のメッカ、シリコンバレーにトレイ、ナッシュ、ホブス、ミッチェルの4人の男たちがいた。彼らは、従来のアプリよりも人との交流に重点をおいたSNSアプリ「BRB」で成功を狙う。そして、チームには新たに日系の女性ミッキーが参加することになる。
www.youtube.com 全1シーズン 11話 1話あたり25分
登場人物
・トレイ
BRBのCEO。チームを率いる存在で、リーダシップ能力がある。だが、やや自己主張が強めな面もある。
・ナッシュ/アバナッシュ
インド系のプログラマー。トレイとは、大学時代からの友人。そのプログラミング能力は、トレイだけでなく、多くの人が認めるところ。
・ホブス
30代のプログラマー。シリコンバレーにおいては年長。だらしなかったり、向こう見ずなところがある。妻とは離婚している。
・ミッチェル
オタクのプログラマー。ミッキーに思いを寄せるも、なかなか彼女に思いを伝えることができない。ゲームやプロレス観戦が好き。
・ミッキー
チームに後から参入した日系の女性。経理担当。サバサバした性格。ミッキーを演じているマヤ・アースキンは、父親がアメリカ人、母親が日本人のハーフ。
The cast takes a moment for this group shot on the set of #Betas pic.twitter.com/I7ByJYJ9Wr
— Betas (@Betas) January 25, 2014
IT業界の現状
制作しているのがAmazonだからなのか、IT業界の描写は結構シビア。BRBの開発をする彼らの前に常には、「SNSなんて、もう飽和状態である」という現状が常に立ちはだかっています。実際、FacebookやTwitter、InstagramなどなどSNSは既にたくさん存在しています。中には、mixiのように、勢いが衰えてしまったSNSも数多くあります。
彼らは、そんなSNSに参入しようとするのです。もちろんありきたりのサービスでは、誰も見向きもしないので、他のサービスとの差別化を図っていくことになります。トレイいわく、これまでのSNSの欠点は「人々の交流を促すためのサービスなのに、実際には皆スマホの画面を見つめてばかりだ」という点。そこで、彼らは実際に人々が会って交流ができるようなサービスを目指していきます。
自分は、それほどITに詳しいわけではないのですが、それでもこれらの主張はいずれも納得できるものです。そういった今のIT業界の実状を背景にしているため、リアリティがあります。
大事なのはチームワーク
このドラマでは、チームメンバーの物語にも重点が置かれています。メンバーは、各々に人には言えない悩みなどもあり、そういった点も丁寧に描かれています。
そして、意外にもこのドラマのテーマは「チームワーク」なのです。IT業界をテーマにした映画だと、例えば『ソーシャル・ネットワーク』というものがあります。しかし、この映画は、ある意味チームワークなんてお構いなしといった感じもありました。このように、スタートアップものだと、成功するためには友情やチームワークは犠牲にしなければいけないというような展開がしばしば見られます。
しかし、『ベータス』はその逆で、物語が進んでいくにつれて、チームワークは強くなっていきます。そもそも彼らが目指しているものも、真に人々が交流できるSNSでしたよね。BRBの最も大きな強みは、そのアイデアや技術力ではなく、チームワークなのかもしれません。
シーズン2は?
シリコンバレーでの成功を狙う青年たちを描いた『ベータス』。IT業界の現実を捉えたうえで、また新たな視点も与えてくれる作品でした。映画『ソーシャル・ネットワーク』よりは軽めなので、比較的見やすいかとも思います。
2013年にシーズン1が配信されたのですが、残念ながらシーズン2への更新はされませんでした。おそらく、今さら新シーズンをやることもないでしょう。面白いドラマで、一般の評価もそれほど悪くないだけに、もったいないなあと思ってしまいます。