映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『サマー・オブ・84』~よみがえる80’s~

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 『サマー・オブ・84』を観てきました。80年代を舞台にしているのですが、本当にあの時期の『グーニーズ』(1985年)とか、『スタンド・バイ・ミー』(1986年)の雰囲気が満載でした。

 

 

1.あらすじ

 郊外に住む15歳の少年デイビーは、隣の家に住む警官マッキーが連続殺人鬼ではないかと疑い始める。そこで、デイビーは仲間の3人の少年とともに、マッキーの正体を調査していくことにした。しかし、一向に確実な証拠がつかめない中……。

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2.80's,80's,80's!

 本作は舞台が80年代であるだけではなく、音楽や登場人物、ストーリーの展開なども80年代の要素が詰め込まれています。これ、本当に今作ったのか?というぐらい。

 

 まずは、登場人物。まあまあ真面目な主人公、勉強ができる眼鏡をかけた少年、ちょっとキザな感じの少年、太っちょでドジりがちな少年という4人構成は、ほぼ『スタンド・バイ・ミー』そのもの。『グーニーズ』にも、こんな感じのキャラクターは出てきますよね。

 

 彼らが自分たちの秘密基地みたいなところに集まって、遊んだり猥談をしたりっていうのも80年代映画にありがち。そして、マッキーの調査をするために、尾行とかゴミをあさったりとかします。日本にいると、そこまでやるか?って思ったりもするのですが、インターネットもない当時のアメリカの郊外は本当にやることがないと聞いたことがあります。だから、ちょっとやりすぎなくらいのこともやってしまうのだとか。まあ、今でも、アメリカの田舎の青年がおバカなことをしている映像がよ出てきますけど(笑)

 

 音楽は、全体的にテクノ調。当時は、結構流行っていたようです。『蛇拳』(1978年)でさえも、音楽はテクノだった時代ですからね。服も今考えると明らかにダサい、当時の妙にカラフルなものが出てきます。

 

3.そうくるか!(ネタバレ)

 物語の大半では、少年たちがマッキーのことを探って、大したことのない証拠を集めています。あまりにも証拠に説得力がないので、普通に考えればマッキーが犯人だなどということは信じられません。デイビー以外の少年も、血の付いたTシャツがでてきたところで一旦は信じるものの、全体的に半信半疑です。

 

 そんな中でも、デイビーだけはマッキーが殺人鬼だと信じて疑わず、最終的に真相をつかみます。ここまでは、まあある程度は予想はできました。大体、物語において主人公の主張が誰にも信じられなかったら、それが真実ですからね。

 

 問題はここからの急展開です。主人公が殺人鬼に襲われるのも、しばしばあるパターンではあります。ただ、普通はその後に警察が来て犯人が捕まるか、犯人が死ぬのがオチ。少なくとも、80年代の娯楽映画ではそうです。

 

 だが、なんと今回は犯人が逃げ延びてしまうのです。しかも、少年を一人殺して。うぉー、なんと不愉快な終わり方。80年代娯楽映画を見終わると、すっきりするものが多いのですが、今回は違いました。

 

 でも、ある意味、80年代らしく終わらせたら、この映画を作る意味がないですからね。80年代そのままだったら、当時の映画を見ればいいわけです。そうではなく、80年代的設定に対して、現代的な結末を付けたところに、本作の意義はあるのかもしれませんね。

 

 少しだけ気になったことを言わせてもらうと、まずはちょこっと出てくるお姉さんの扱い。デイビーと良い感じになっているのは分かりますが、さすがに出演場面が少なすぎて微妙。もう一つは、少年たちの偵察がちょっと長い。ろくな証拠が出てこないのは良いのですが、それに満足しなくてもう一回偵察するというのを繰り返しすぎな気がします。

 

4.まとめ

 個人的に、80年代の映画はとてもすきなので、その雰囲気が十分に楽しめたのは良かったです。ただ、その中で現代的で衝撃的な結末があったので、ただのノスタルジー映画ではなく、また新しい形の”80年代映画”になったのかなと思います。スピルバーグやゼメキスの娯楽映画を好きな方は必見です。

 

↓今度は90年代!

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