映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

ドラマ『ウエストワールド』シーズン1~アンドロイドは意識を持ちうるか~

                    Westworld (TV series) title logo

 

 個人的に科学の話とか結構好きで、『ウエストワールド』なんかはどストライクに自分の好みなんですよね。自分が好きな『ブレードランナー』(1982年)に共通するところもあって、良かったです。なお、この記事にネタバレはありません。

 

 

1.あらすじ

 舞台は、アンドロイドがホストとなってゲストをもてなすテーマパーク「ウエストワールド」。ここでは、ゲストは暴力、セックス、殺人などやりたいことは何をやっても良い。ホストたちは完全に制御できていると思われていたが、次第に彼らの中に、自分たちが置かれている状況の違和感に気づくものが出てくる。

youtu.be

『ウエストワールド』シーズン1 2016年 全10話 1話約60分

 

 マイケル・クライトンが監督・脚本を務めた映画『ウエストワールド』(1973年)をベースにしていますが、ストーリーは完全に独立しています。よって、映画版は見ていてもいなくても構いません。

 

2.入念な下準備

 あらすじだけ見ると、ロボットが人間に反乱を起こす話かと思うかもしれませんが、そんな単純な話ではありません。反乱を起こすのは、第8話あたりからなので、物語はかなりゆっくり進んでいきます。第5話あたりまでは、かなり地味な展開が続くので、ちょっとした辛抱が必要かもしれません。雰囲気としてもかなり重いので、もしかしたら前半は期待していたほどは楽しくないかもしれません。

 

 ただ、第7話あたりから急に面白くなってきます。ここから、それまでの入念な下準備を大いに利用して、登場人物たちが動き始めます。そう、前半は後半に向けての壮大な下準備になっています。前半では、ウエストワールドというテーマパークがどういうものかを紹介し、各登場人物がじっくり描かれます。だから、前半からしっかり見ておくと良いです。ここで、いまいちだからと言って脱落してしまうのはもったいない。

 

3.本作のテーマ

 本作は全体として、抽象的な会話も多くなっているのでテーマを理解していると、話がわかりやすくなると思います。本作の一貫したテーマというのが、「アンドロイドは意識を持つことが可能なのか」という点にあります。ここでいう「アンドロイド」というのは、具体的にはウエストワールドのホストたちのことですが、広くAIやロボットと捉えてもらって大丈夫です。

 

 皆さんはどうお思いでしょうか?AIが意識を持つなんて、ありえないと思っているでしょうか。それとも、近年の目覚ましいAI技術の発展を目の当たりにすると、あながちありえない話でもないとお思いかもしれません。個人的には、後者の立場で、いずれはAIが「自己」を持つのではないかと思っています。だって、人間だって所詮は有機化合物に過ぎないのですから、それが機械で再現できないという方がむしろ不自然かなと。まあ、ちょっと独特な意見かもしれませんが。

 

 『ウエストワールド』がこの問題に向かうとき、まずは「意識」とは何なのかという点に踏み込んでいきます。そもそも、人間は「意識」を持っているのか。あるいは、ただそう思い込んでいるだけなのか。そして、ウエストワールドのホストたちは意識を持っているのか?

 

 さらには、そもそも人間は自分の意思で行動しているのかという問題も出てきます。アンドロイドは基本的には、プログラムされた通りに動きますが、本人たちはそんなことは知りません。つまり、彼らは自分の意思で動いていると思って、実は命令された通りに動いています。ならば、人間はそうでないとどうして言うことができるでしょう。自分で決定していると思っても、実は他の何かがあなたの決定を左右しているのかもしれません。

 

 てな感じで、いろいろ考えていくときりがないです。こういったことを考えるのが好きだったら、このドラマを存分に楽しめると思います。自分は、『ブレードランナー』が好きなことからわかるかもしれませんが、こういった話は割と好き。今、AIの進化ってものすごく進んでいるから、現実にこういったテーマが現実に提起されうる状況なのかなとも思います。そう考えると、無関心ではいられない。

 

4.楽しい楽しいテーマパーク

 とはいえ、本作だって難しい話ばかりしているわけではありません。ちゃんと見せ場もあります。テーマパークのコンセプトが疑似西部劇なので、西部劇っぽいアクションシーンとかが結構出てきます。映像を見るだけだと、SFというよりは、むしろ西部劇の要素が強いです。映像は西部劇なのに、ストーリーはガチガチのSFというギャップは本作の魅力の一つです。

 

 ちなみにどうでもいいことを言うと、本作のヒロインであるホストのドロレスは、シーズンを通して一回しか着替えません。つまり、2種類の衣装しか見られないのです。それが、自分にはもはやネタのように見えて面白くなってきてしまいました(笑)。ここまで着替えないキャラクターって、あんまり見たことないです。

 

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

WestWorld HBOさん(@hbowestworld)がシェアした投稿 -

 

5.まとめ

 結局、どういう人におすすめしたいかというと、じっくりドラマを楽しみたい人。お世辞にも気軽に見れるものとは言えません。ドラマ『HAWAII FIVE-0』みたいに気軽に楽しむには向いていません(ちなみに、このドラマは私が思うに最もシンプルで、気楽なドラマ)。一話完結でもないですし、話もいくつも同時進行していて複雑です。

 

 でも、見ていくうちに、どんどん面白くなっていきます。後半に進むにつれて、驚きの展開もあったりするので、満足感は高いです。自分は今、シーズン2が見たくてたまらないです。未来の世界に突き進む前に、一度は見ておきたいドラマです。

 

シーズン1ネタバレまとめ&シーズン2感想↓

presbr.hatenablog.com