映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

映画『デッドプール』~キレッキレのマーベル映画~

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 異色のヒーロー映画『デッドプール』(2016年)を見ました。そこで今回は『デッドプール』の紹介をしたいと思います。

 

 

1.あらすじ

 主人公は傭兵のウェイド・ウィルソン。愛する女性ヴァネッサと幸せに暮らしていたが、ある日ガンを宣告される。そこに、ガンを治せるという男がやってくる。始めは断ったウェイドだったが、ヴァネッサのことを考えて思い直し、治療を受けることに。しかし、実際は治療とは人をミュータントにする人体実験のことだった。過酷な人体実験を乗り越え、不死身となったウェイドだが、その見た目は醜いものになっていた。そんな残酷な人体実験をしたフランシスに復讐を誓い、ウェイドはデッドプールとして活躍することになる。

 

 と書くと、何だかシリアスな雰囲気が漂ってしまいますが、実際はその逆。デッドプールは異様に明るいおしゃべりさんです。そして破天荒。そりゃ、不死身ですからね。何やっても大丈夫なのです。

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2.デッドプールって何者?

 デッドプールはマーベル・コミックに登場するスーパーヒーローです。世界観としては、X-MENの世界に属することになります。X-MENの世界では、ミュータント(突然変異者)という超能力を持つ人たちがいます。超能力には先天的なものと後天的なものがあるそうですが、デッドプールの場合は人体実験により、強制的にミュータントにさせられたので後者になります。『デッドプール』には、X-MENのネタがたくさん出てくるので、このくらいは知っておくと理解がしやすいです。とはいっても、X-MENの映画を見ていなくてもそれほど支障があるわけではありません。

 

 このキャラの特徴はすごくおしゃべりなこと。スパイダーマンだってよくしゃべるが、デッドプールの方がよくしゃべる。何しろ、観客に向かっても話しかけてしまうのだから。これが新しい。観客に向かってわざわざしゃべりかけるとは、型破りなことをするものだ。

 

 実は、このデッドプールは『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)にすでに出演していました。しかし、このときのキャラクターは本来のものとは全くの別物でした。よって、本作と『ウルヴァリン』にはほとんど関連がないと言って大丈夫です。

 

3.ライアン・レイノルズって誰?

 主人公のデッドプールを演じるのは、「最もセクシーな男」ライアン・レイノルズです。この称号は私が勝手に言ってるわけじゃないです。というか、セクシーさで言ったらマット・ボマーの方が上だと思う。「最もセクシーな男」はアメリカのピープル誌が年に一回投票で決めているもので、ライアン・レイノルズは2010年にこの称号を獲得しました。

 

                                                    Deadpool 2 Japan Premiere Red Carpet Ryan Reynolds (cropped)              

 

 最近だと『名探偵ピカチュウ』(2019年)でピカチュウの声を演じていました。ピカチュウの声がおっさんで、べらべらしゃべるってどうなんでしょうね。ピカピカーで良いじゃんと、私は少し思うのですが。ま、これはまたいずれ記事にするかもしれません。

 

 ライアン・レイノルズは過去にも、『グリーン・ランタン』(2011年)というヒーロー映画で主演を務めています。しかし、この映画は大コケしました。本作には、そのことをネタにしているシーンもあります。

 

4.キレのあるアクション

 本作はヒーロー映画でありながら、R15指定されています。だから、ちょっとヴァイオレンスが強めです(とは言っても、タランティーノほどではない)。その分、他のヒーロー映画とくにマーベル映画に比べてキレのあるアクションシーンが見られます。デッドプールの武器は日本刀です。この点は『キル・ビル』(2003年)っぽいかも。

 

5.暗いバックグラウンド

 本作を見ていて思ったのが、デッドプールのバックグラウンドの闇の深さです。背景に人体実験があり、このシーンがまあまああるのですが、そのせいでちょっと全体的に暗い雰囲気が出てしまっている。その点が、デッドプールのキャラと若干ミスマッチしている感じがする。

 

 ヒーロー映画の第1作では、どうしてもヒーローの誕生を描かなければいけないので、この部分は映画全体の雰囲気に大きく関わる。だから、『バットマン・ビギンズ』(2005年)は変に東洋的な印象が残ってしまう。ヒーロー誕生の背景がスパイダーマンのようにあっさりとしたものだったら、作品にはそれほど影響しないのだが。

 

 暗い雰囲気というのは、『デッドプール』に限ったことではなく、X-MENシリーズ全体に関して言える。どうやら、アメリカ人はヒーローに闇の過去を求める傾向があるらしい。ただ、X-MENのキャラクターはデッドプールのように明るい人がいないので、映画の雰囲気とは合っている。アベンジャーズに関しては、ソーやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーなどあまり暗い過去を持たないキャラクターも多い。日本でX-MENはあまりヒットしないけど、アベンジャーズがヒットするのにはこういう要因もあったりするのかもしれない。

 

6.まとめ

 ここまで色々書いてみましたが、デッドプールはおおむね面白いです。新感覚のヒーロー映画としては、一見の価値があるでしょう。特におすすめしたいのは、今の複雑なアメコミ世界に少し乗り遅れてしまった人たちです。本作は、アベンジャーズとの関連はなく、X-MENのことをそれほど知らなくても十分楽しめます。