映画の並木道

古今の映画や海外ドラマについて紹介しています。ネタバレは基本的になく、ネタバレするときは事前にその旨を記しています。

パンクだねぇ!『パーティで女の子に話しかけるには』解説&感想

f:id:presbr:20200130150432j:plain

https://www.facebook.com/HTTTGAP/

 パンクだ! この映画はパンクである! 設定がぶっ飛んでるし、映像もぶっ飛んでいるが、これはパンクだ!

 

 

基本データ

・原題:How to Talk to Girls at Parties

・公開日:2018年5月11日(イギリス)、2017年12月1日(日本)

・制作国:イギリス、アメリ

・原作:ニール・ゲイマンの同名小説

・監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル

・出演:アレックス・シャープ、エル・ファニング(『マレフィセント』オーロラ役)、ニコール・キッドマン、トム・ブルック(ドラマ『プリ―チャー』)

・あらすじ:

 1977年のロンドンの町クロイドンに、パンク好きの高校生エンと友人のヴィク、ジョンがいた。ある日、彼らは明らかに異質な集団のパーティに参加し、そこでエンはザンという少女に出会う。その後、エンは「パンクを見せて」と言うザンと48時間をともに過ごすことになる。

・予告編:

www.youtube.com

エイリアン生態解説

 日本版のポスター(予告編のサムネと同じ)だと、SF感が全くないのですが、『パーティで女の子に話しかけるには』は完全にSFです。ただ、人間側がいまいち彼らを宇宙人だと認識していないために、本当はただのカルト集団なのじゃないかという気もしてしまいます。でも、彼らは宇宙人です。

 

 彼らは、6つの惑星がある星系の出身だそうです。そして、6つのコロニーと呼ばれる集団に分かれて生活しています。全体で統一された厳しいルールとともに、コロニーごとにスローガンがあります。ルールの方はレベル別になっていて、相手に触ったりするのもルール違反になるのだとか。でも、あからさまに重いルール違反でなければ、あまり処分を受けることもなさそう。

 

 コロニーはペアレントティーチャー(PT)一人と、その子供たちで構成されています。そして、PTは自分の子供たちを食べる風習があります。今回は、彼らが地球を去る前に子供たちを食べる予定になっています。

 

 ザンは、第4コロニーの一員。第4コロニーは、「個性の尊重」をスローガンに掲げていまし。しかし、ザンは、実際はルールに縛られて何も出来ていない状況にうんざりし、特別に許可を得てエンとともに行動することになりました。しかし、彼女は48時間後にはPTに食べられる運命です。彼女自身は特にそのことを心配している様子はありませんが。

 

presbr.hatenablog.com

  

パンクしようぜ

 『パーティで女の子に話しかけるには』を観ていると、「パンクって何だ?」ということを考えずにはいられません。音楽としては、セックス・ピストルズラモーンズに代表される、当時のロックに対する反抗として生まれた実験的な音楽のジャンルと説明されます。より一般には、現状の文化や風潮に対する「反抗」の文化がパンクと言われています。

 

 この映画では、エル・ファニング演じるザンが圧倒的にパンクしています。自分のコロニーから飛び出し、人間世界に飛び出していくところがまずパンク。そして、怖いもの知らずで、色んなことをエンとともにやってみます。匂いを嗅ぎ合ったり、キスしたり、顔をなめたり。ここでは、監督のフェティッシュな趣味を見ることもできます(笑)パンクだなぁ。

f:id:presbr:20200130152213p:plain

https://www.indiewire.com/2017/08/how-to-talk-to-girls-at-parties-trailer-elle-fanning-nicole-kidman-1201868256/

  映画の作り自体も、パンクしています。特にザンとエンがステージで歌うところから、急にMVみたいに宇宙空間(?)の映像が流れてくるところは、ぶっ飛んでいる。宇宙人も、ただラバースーツを着ておかしなことを言っているだけにも見え、極めて特殊な造形がされています。

 

ベストシーン

 『パーティで女の子に話しかけるには』のベストシーンは、ザンがステージで歌い始めるところに決定! ザンが歌えるかどうかも全くわからず、観ている方も不安しかないままで、彼女はステージに上がってきます。最初は、あまり面白くもないことを歌い始めますが、あるところでスイッチが入ります。そして、「I'm not a tourist」と叫んでからがもう最高! エンが入ってきて、一緒に歌うところも最高! まさにパンクそのものだったし、この映画のすべてを表していたように感じられました。

www.youtube.com

 ちなみに、この声はちゃんと本人たちのもの。エル・ファニングは、『ティーンスピリット』でも歌っていますからね。歌える人なんですよ。ただ、彼女の凄いところは、ただ歌うだけじゃなくて、その場面での心情で歌えるところ。だから、必ずしも歌手のように上手い歌声を聞かせてくれるとは限りませんが、それでこそ女優。これから、もっともっと活躍していくことでしょう。

 

映画『ティーンスピリット』曲解説&感想 - 映画の並木道

 

まとめ

 『パーティで女の子に話しかけるには』は、かなりクセが強めです。パッケージだけでは、SFものという要素が感じられないので、なおさらそう感じやすいかもしれません。そのクセにハマるかどうかで、好き嫌いが分かれる作品になっています。

 

 自分は、とても面白く観させてもらいました。あの宇宙人は好きですよ。変なラバースーツかもしれませんが、それはそれでセンスが感じられます。パンク側の衣装や歌も良かったじゃないですか。ザンの奇行の数々も、なんとも愛おしい。

 

 それだけではありません。このストーリーも好き。アイデンティティや親子関係といったテーマを、宇宙人という外部の存在を置くことで改めて浮き彫りにしています。そして、そこから導き出されるザンの決断や、エンの成長には感動もさせられました。少々意味不明なところもありますが、映画というのは明快であれば良いとも限りません。このぐらい観客に思考を求める映画も、私は好きです。

 

 ということで、私は『パーティで女の子に話しかけるには』を全面支持します。最高でした。エル・ファニングは可愛かったけど、それだけではありません。ストーリー、美術、音楽といったいくつもの面で、見所のある映画です。タイトルはいまいちかもしれないけど、おすすめ。

パーティで女の子に話しかけるには【Blu-ray】 [ エル・ファニング ]

 

映画館巡りvol.3

f:id:presbr:20191005165915j:plain

 行きつけの映画館を決めてしまった方がポイントも貯まりやすくて良いのでしょうが、まだまだ行き足りない!ということで、映画館巡り第3弾です。

 

過去記事

映画館巡りvol.1 - 映画の並木道

映画館巡りvol.2 - 映画の並木道

 

 

TOHOシネマズ渋谷

 大手シネコンのTOHOシネマズグループの一つです。そのため、設備や雰囲気は他のTOHOシネマズとほとんど変わりません。全6スクリーンで、いずれも大きいです。IMAX上映などには対応していません。

 

 行ったときは、パンフレットなどの売店がないのかなと思っていたのですが、どうやら2階のポップコーン売り場の横にあるようです。スクリーンごとに、地下1階から7階に分かれて位置しているので、ポップコーンを買うならあらかじめ2階に寄るようにしましょう。

 

109シネマズ川崎

 川崎駅のすぐ近くの、ラゾーナ川崎5階にあるシネコンです。全10スクリーンで、スクリーン7はIMAX対応劇場です。しかも、IMAXレーザーなので、普通のIMAXよりもクリアな映像が楽しめます。上映作品は大作が中心。

 

 109シネマズという大手シネコンなので特に言うこともないのですが、少し気になったのは待ち場所の少なさ。映画館には、ほとんど待つ場所がないので、ラゾーナ川崎内を適当にぶらつくことになります。また、川崎駅に非常に近いということもあり、やや混みがちなので、事前にチケットを買っておくのがベターです。

 

新宿ピカデリー

 JR新宿駅東口から徒歩5分のところにあるシネコンです。全10スクリーンで、いずれも100席以上あり大きめ。運営元はMOVIXなどを運営している松竹。SMTという共通の会員カードが使えます。

 

 スクリーン1には、プラチナシートとプラチナルームというものがあります。プラチナシートは、バルコニー席の良い椅子+ウェルカムドリンクが付いて5,000円。プラチナルームは、バルコニー席に設けられた個室+ウェルカムドリンク&スイーツで、2人合わせて30,000円。あこがれる~。

 

 上映作品は、メジャー作品が多めではありますが、少しマイナー作品もやっています。そういった作品が上映されている映画館の中では、ここが一番大きなスクリーンという印象です。

 

公式サイト 上映スケジュール【公式】|新宿ピカデリー

 

キネカ大森

 大森にあるミニシアター系の映画館です。スクリーンは3つ。自分はキネカ2で観たのですが、スクリーンは小さめな印象。キネカ1はある程度大きそうですが、キネカ3は小さいかも。

 

 でも、ここは作品のラインナップが粋なんです。週替わりで、「名画座2本立て」という企画をやっていて、過去の名作を2本立てで上映してくれます。そして、料金も新作1本観るより安い。最近だと、マ・ドンソク主演『無双の鉄拳』やゴダール監督の『気狂いピエロ』など、さすが素晴らしいラインナップが並んでいます。

 

 加えて、Netflix作品の上映もしていることがあります。先日は、インド映画を特集するインディアン・ムービー・ウィークにも参加し、DVD化もされていないインド映画の上映を行っていました。また、人気作品も扱っており、それらを遅めのタイミングで上映することも多いので、見逃してしまった作品を観るのにも、うってつけです。

 

 小さめな映画館ではあるものの、待つ場所もそれなりにあります。待ち場所には、映画のパンフレットがたくさん置いてあります。映画関連の本も置いてあって、待ち時間にはそれらを読むこともできます。

 

公式サイト キネカ大森 | 日本初のシネコンとしてオープンした映画ファン憩いの映画館

  

映画館巡りvol.3まとめ

 今回はミニシアターが1館と少なめ。以前から行きたいと思っているアップリンクにまだ行けていないのが残念なのですが、とりあえずそれを今年の目標にします。

 

 最後に、今回紹介した映画館の強みをまとめておきます。

 

・TOHOシネマズ渋谷:渋谷が近い人にとってはマスト

・109シネマズ川崎:JR川崎駅すぐ近く、混みがち

新宿ピカデリー:ややマイナーな作品を大きいスクリーンで見られる

・キネカ大森:ミニシアターと名画座、待ち場所も必見

 

 イチ押しはキネカ大森。作品のチョイスが良いのです。新宿ピカデリーも、『ティーンスピリット』のような作品を大スクリーンでやっていたりするのでおすすめ。

 

presbr.hatenablog.com

presbr.hatenablog.com

『ピラニア』はちゃんと”見せてくれる”良いB級映画です。『ピラニア リターンズ』も!

f:id:presbr:20200128200735j:plain

https://www.themoviedb.org/movie/43593-piranha-3d より

 ときには、バカバカしい映画を観たくなることもありますよね?今回は、そんなときに最適のバカ、グロ、エロが全て詰まった『ピラニア』をご紹介!

 

 

基本データ

・原題:Piranha

 ※劇場公開時は3D映画として公開されたため、タイトルは『Piranha 3D』

・公開日:2010年8月20日アメリカ)、2011年8月27日(日本)

・上映時間:87分

・監督:アレクサンドル・アジャ(『マニアック』『クロール-凶暴領域-』)

・出演:スティーブン・R・マックイーン、エリザベス・シュー

・あらすじ:

  アリゾナ州ヴィクトリア湖は、浮かれた若者たちでにぎわっていた。一方、湖の中では、絶滅したと思われていた古代のピラニアが復活。人を容赦なく食いちぎるピラニアは、やがて人々を襲い始める。

・予告編:

www.youtube.com

実は豪華キャスト

 内容はいかにもB級パニック映画なのですが、キャストは意外と名の知れた人も多いです。主演のスティーブン・R・マックイーンは、ドラマ『ヴァンパイア・ダイアリーズ』のレギュラー、その母親役のエリザベス・シューは『バック・トゥ・ザ・フューチャーPart 2』『Part 3』に出演しています。

 

 それだけではありません。海洋博士のおじいさんは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクことクリストファー・ロイド。今回『ピラニア』で、奇しくもエリザベス・シューと再共演を果たすことになりました。

 

 さらにさらに、最初にピラニアに食われてしまうおじさん、誰かわかりましたか? 正解は『ジョーズ』に出演していたリチャード・ドレイファスなのです! 水中パニック映画で、その元祖と言える『ジョーズ』の出演者を最初に出して、しかも殺してしまうとは、なんとも粋ではないですか(笑)

 

 ちゃんと見せてくれる楽しさ

  『ピラニア』の一番良いところは、ちゃんとすべて見せてくれるところ。B級パニック映画だと、予算がないので、メインの怪物すらほとんど出てこない場合も多いです。その点、この『ピラニア』は、ややCG感が強いにしても、ちゃんとピラニアが出てきます。それも、たくさん。

 

 そして、グロいシーンもちゃんと見せてくれます。ピラニアに食われて、全身が血だらけになるなんて序の口。足が付け根からもげてしまったり、体が真っ二つになったりします。それも、たくさん。

 

 加えて、こういったB級映画らしく、ちゃんとエロシーンもあります。上裸の女性が出てきます。それも、たくさん(笑)

 

 そういった、我々がB級パニック・ホラー映画に期待している要素を、すべてちゃんと見せてくれるのです。ほとんどのB級映画は、パッケージでそういったシーンがあることを匂わせるだけで、肩透かしになることが多いので、『ピラニア』は貴重。

 

ジョーズ』+α

 映画冒頭でリチャード・ドレイファスが殺されるところからもわかるように、この映画は『ジョーズ』オマージュが頻繁に登場します。特に、湖畔の阿鼻叫喚の図は明らかにそう。というか、むしろこの場面に関しては、『ジョーズ』をさらにパワーアップさせた感じです。だって、『ジョーズ』はこんなにグロくはなかったもの(笑)

 

 数人がボートに乗って、湖に出ていく展開もちょっと『ジョーズ』っぽい。もちろん『ジョーズ』の方が、人間ドラマの描き方の上手さや、「見えない」恐怖を徹底している点で優れている作品ではあります。でも、『ピラニア』も、すべてをしっかり「見せる」ところや、ストーリーに家族の絆という一つの筋が通っていたりと、見どころがあります。

ピラニア【Blu-ray】 [ エリザベス・シュー ]

 

 

続編『ピラニア リターンズ

 2012年には、続編の『ピラニア リターンズ』(原題:Piranha 3DD)が作られました。今度は、プールを舞台にピラニアたちが大暴れ。登場人物はほとんどが入れ替えられていますが、クリストファー・ロイドや湖畔で勇敢にもピラニアにスクリューを向けて人々を助けた保安官は再登場します。

 

 主人公は、若い女の子。『ピラニア』では、湖畔でピラニアに食べられる側の人間です(笑) とても可愛いんですけど、この人が生き残っちゃうのかぁという感じ。

 

 バカ、グロ、エロさは『ピラニア』に負けていません。舞台が湖からプールに移り、若干のスケールダウンはありますが、相変わらず足はもげて、首は飛んでいきます。ヌードの女性もたくさん出てきますよ(笑)

 

 でも、自分が『ピラニア リターンズ』を観て印象に残ったのは、ほぼデヴィッド・ハッセルホフのみ。80、90年代に『ナイトライダー』や『ベイウォッチ』などのTVドラマに主演して、非常に人気のあった人です。『ピラニア リターンズ』は、この『ベイウォッチ』のネタがとにかく多い。しかし、元ネタをあまり知らない自分はノリきれず。デヴィッド・ハッセルホフと『ベイウォッチ』に頼りすぎた内容はいまいち。

ピラニア リターンズ【Blu-ray】 [ ダニエル・パナベイカー ]

 

『ピラニア』感想まとめ

 まとめるなら、『ピラニア』は一見の価値ありと言えるでしょう。B級パニック・ホラー映画に求めるものを、ここまでしっかりと見せてくれる映画も他にありません。バカ、グロ、エロを見たい!というときに超おすすめ。あなたが期待しているものの、2倍の量で見せてくれます。

 

 続編の方は、『ピラニア』が気に入ったという人なら見る価値はあります。少々スケールダウンしているものの、バカ、グロ、エロはしっかり見せてくれます。加えて、デヴィッド・ハッセルホフのファンはこの『ピラニア リターンズ』の方だけで良いので観ましょう。たぶん楽しいはず。

 

↓さらにグロを求める方には『プラネット・テラー』がおすすめ

presbr.hatenablog.com

映画『シンクロナイズドモンスター』とアン・ハサウェイ

f:id:presbr:20200124174308j:plain

https://www.imdb.com/title/tt4680182/?ref_=nv_sr_srsg_0 より

 アン・ハサウェイがB級モンスター映画に出ていたってご存じでしたか?しかも、それほど昔の話ではなく、4年ほど前。今回は、そんなちょっと特殊な背景もあり、内容も単にモンスター映画と括ることが出来ないような『シンクロナイズドモンスター』をご紹介。

 

 

基本データ

・原題:Colossal

・公開年:2017年4月7日(アメリカ)、2017年11月3日(日本)

・上映時間:110分

・監督:ナチョ・ビガロンド

・主演:アン・ハサウェイ

・あらすじ:

 グロリアはだらしがなさすぎて、彼氏のティムに捨てられてしまう。彼女は、自分探しとして故郷の田舎町に戻り、そこで幼馴染のオスカーと再会することになる。そのとき、ソウルでは巨大怪獣が街を襲っていた。ある日、グロリアはその怪獣の動きと自分の行動が一致していることに気づく。

・予告編:

www.youtube.com

アン・ハサウェイッ!!!

 『シンクロナイズドモンスター』の一番の特徴は、アン・ハサウェイが出ていること。製作費もさほど多くもないのに、なぜ彼女が出演しているのか。それは、彼女自身が出演したかったからです。どうしてもこの映画を作りたかったので、製作総指揮もやっちゃいました(笑)

 

 どうして、アン・ハサウェイがこういったB級モンスター映画にそんなに取りつかれてしまったか。それは、(Wikipediaによると)彼女自身がスランプに陥っていることに気づいたからだそう。アン・ハサウェイといえば、『レ・ミゼラブル』(2012年)でアカデミー賞を獲り、『インターステラー』(2014年)、『マイ・インターン』(2015年)に出演。いつスランプだったの!?  ぜひ気を確かに持って今後も活躍してもらいたいものです。

 

 先に、この『シンクロナイズドモンスター』の一般的な評価について触れておくと、これは割れています。批評家の間でも割れています。ただ、興行的に見てみると、製作費の半分も回収できておらず、失敗だったと言わざるを得ないでしょう。

 

感想

 『シンクロナイズドモンスター』は、モンスター映画としてはいまいち。第一、モンスターの出番が少ない。そして、実際にモンスターが襲うのが、主人公たちのいるところではなく、遠く離れた韓国なので緊迫感もない。なぜ、怪獣大国・日本ではなく韓国なのかというのも気になったが、どうやらそれは東宝との大人の事情があったらしく、仕方ないか。モンスターや巨大ロボットの造形は良かった。モンスターに可愛さがあり(アン・ハサウェイのおかげ?)、そこは良い意味でハリウッドらしくなくて良かった。

 

 そもそも、『シンクロナイズドモンスター』はモンスター映画なのかといえば、否。全くモンスター映画ではないし、始めからそうするつもりもなかったのだろう。モンスターとロボットは、あくまでもグロリアとオスカーの確執を分かりやすく描くために存在している。

 

 そういった人間ドラマ的な観点でこの映画を観るならば、それなりに見所はあるかもしれない。特に、アン・ハサウェイが珍しくだらしない女性を演じているのは、興味深い。普段はあまりやらない役柄とはいえ、そこはアン・ハサウェイほどの女優。しっかりと演技で魅せてくれます。

 

 それにしても、ソウルが可哀そう。グロリアとオスカーに痴話喧嘩に勝手に巻き込まれ、巨大怪獣とロボットに襲われるとは。とんだ迷惑です。でも、怪獣が何回もソウルを襲っているのなら、ソウルの人たちもさすがに避難するのでは? 毎回、皆で逃げ回っていたけど、ちょっと危機感なさすぎじゃないか?

 

シンクロナイズドモンスター』まとめ

 『シンクロナイズドモンスター』は、アン・ハサウェイが出ている怪獣映画なんですよ。それだけで十分ではないかとも思うのです。今回のアン・ハサウェイも可愛かったし、彼女の演技力のおかげで物語に多少の見どころはありますから。それに、怪獣の造形自体は非常に良い。出演シーンが少ないのがもったいないのだが、この可愛い怪獣も一つの見どころです。

 

 ただし、あくまでも怪獣映画ではないのだということをお忘れなく。

映画『ティーンスピリット』曲解説&感想

f:id:presbr:20200122140437j:plain

https://eiga.com/movie/90859/

 皆、エル・ファニング好きでしょ。エル・ファニングを見たことがない人も、エル・ファニングは好きです(笑)今回は、そんなエル・ファニングが主演し、歌っている『ティーンスピリット』の紹介です。

 

基本データ

・原題:Teen Spirit

・公開年:2019年4月12日(アメリカ)、2020年1月10日(日本)

・監督:マックス・ミンゲラ(今回が監督デビュー)

・出演:エル・ファニング

・あらすじ:

 イギリス・ワイト島の田舎に住む17歳のヴァイオレット・ヴァレンスキ。父親は家を出てしまい、友達も少なく、孤独な生活を送っていた。そんなある日、音楽オーディション番組「ティーンスピリット」の広告を見つけ、参加を決意する。

・予告編:

www.youtube.com

曲解説

 『ティーンスピリット』の見どころは何といってもエル・ファニング演じるヴァイオレットの歌唱シーン。まずは、その歌唱シーンをまとめてご紹介していきます。

 

I Was A Fool ティーガン&サラ

 ヴァイオレットが最初にバーで歌う曲です。バラード調で、少し寂しい印象の曲になっています。原曲は、カナダの女性デュオ、ティーガン&サラが歌っていました。ティーガン&サラは、『レゴ・ムービー』の主題歌「Everything is Awesome」も歌っています。

 

Dancing On My Own ロビン

 ワイト島地区予選でヴァイオレットが歌う曲です。I Was A Foolとはうって変わり、アップテンポな曲となっています。原曲は、スウェーデンのシンガーソングライター、ロビンの曲。2016年にカラム・スコットによりカバーされ、こちらもヒットしました。

 

Lights エリー・ゴールディング

 ワイト島地区予選決勝で歌う曲です。ステージも豪華になり、歌にも力強さが増してきます。原曲は、イギリスの人気シンガーソングライター、エリーゴールディングの曲。希望について歌った内容になっています。

 

Little Bird アニー・レノックス

 ヴァイオレットが地区予選に落ち、その後やっぱり本選に進めることがわかった後に、バーで歌う曲になります。一番明るい雰囲気の曲です。原曲は、イギリスのシンガーソングライター、アニー・レノックスが歌ったものです。

 

Good Time カーリー・レイ・ジェプセン&アウル・シティ

 「ティーンスピリット」決勝のオープニングで、決勝進出者が皆で歌う曲です。原曲は、カーリー・レイ・ジェプセンとアウル・シティが歌った曲。かなりヒットしたので、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

Don't Kill My Vibe シグリッド

 ヴァイオレットが決勝で歌った曲です。元は、ノルウェーの女性シンガーソングライター、シグリッドのデビュー曲。シグリッドは、田舎町の出身で、ファーストアルバムが21歳のときだったりと、何となくヴァイオレットとの共通点も感じられます。

psbr.hatenablog.com

 

Wild Flowers

 エンドロールで流れる曲です。これは、カーリー・レイ・ジェンセンとジャック・アントノフがこの映画のために書き下ろした新曲になります。それだけに、一番エル・ファニングの声に合っていた曲だと感じられました。

www.youtube.com

感想

 オーディション番組で素人の若者が成功していくという話は、定番ではありますが、楽しいものです。ただ、今回はそれ以外の要素がいかんせん弱い。ヴァイオレットを取り巻く状況には、孤独、父親の喪失感、貧しさ、プロデューサーのブラドとの不和などなどがあるわけですが、いずれの要素もあまり掘り切れていない印象がします。

 

 おそらく、一番描きたかったのはヴァイオレットの孤独だと思うので、そこを軸にして、ブラドやバンドの仲間と上手くやっていくみたいな展開が良いのかな?これも『ピッチ・パーフェクト』とかで、ド定番ではありますけどね。でも、『ピッチ・パーフェクト』がこのテーマをしっかり扱えていたかといえば、そうも思えないので、一度ちゃんとやってみるというのはアリなのかも。

 

 見どころといえば、エル・ファニングの歌唱シーンの他に、オーディション番組の雰囲気もそう。どんどん規模が大きくなっていくにつれて、演出も派手になり、グイグイ盛り立てていきます。

 

 そして、あんまり映らないんだけど、ワイト島の画も良かった。エル・ファニングがアウトドア系のウインドブレーカーを着て、馬の世話をしているところは絵になってたなぁ。個人的には、そういった画をもっと見たかった気持ちもあります。

 

まとめ

 総括として、『ティーンスピリット』はストーリー面では弱さが見られます。でも、オーディション番組のシーンは良かったし、エル・ファニングが歌っているから、それは楽しかった。エル・ファニングのファンは絶対に観るべき!そして、すべての人類はエル・ファニングのファンなので、全員観るべきです(笑)

 

↓輸入盤のサントラCD

輸入盤 O.S.T. / TEEN SPIRIT [CD]